Quantcast
Channel: Blue Moon
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2401

妄想小説@「好きで好きで、どうしても好きで。」17(大野智)

$
0
0













はじめから



妄想小説@「好きで好きで、どうしても好きで。」①(大野智)

http://ameblo.jp/see-la/entry-11849983884.html






一つ前のお話



妄想小説@「好きで好きで、どうしても好きで。」16(大野智)
http://ameblo.jp/see-la/entry-11867522196.html











・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





第17話













身体にまとわりつくように、絡んでくるたくさんの手。


逃げたら、髪を掴まれる。

払えば、腕を押さえつけられ、叫べば口を塞がれる。

足首を掴まれ、太ももの内側に張り付くように感じる乾いた手の感触。





いや!


やめて、お願い!


いやーー!











心臓はドキドキしたまま、今、走ってきたかのように息も上がっていた。


暗い室内。

硬直したまま、目の玉だけを左右に動かした。


私は今、どこにいる?







少しだけ身体を動かせば、部屋の隅に鎮座している妙な形のロボットと目があった。


ああそうだ、ここは…。





ゆっくり上体を起こして、二回ほど深呼吸をした。

額の汗を拭い、ベッドの淵に手をかけて立ち上がる。




キューッと胃が苦しくて、ものすごい吐き気が襲ってきた。




口をおさえて、慌ててキッチンに走り寄る。


蛇口から勢いよく水を出し、バシャバシャと顔を洗った。



photo:04






髪を掴まれた感触が、鮮明に残っている。


追い詰められていくような怖さと、身体に残る張り付くような気持ちの悪さ。




考えれば、吐き気が襲う。


部屋を汚してはいけないと、フラフラとトイレへ向かった。




ドアを開け、廊下に出れば、暗いはずの玄関が白く光っている。


恐る恐る近寄れば、それは白いビニール袋の山だった。





中を覗けば、全部食べ物で埋め尽くされている。


手前の袋の上に、「食べてください。何かあったら連絡してください。」と書かれたメモと携帯電話が置いてあった。



いつ来たのかも分からない。


音も立てず、そっと置いていってくれたのかと思うと、ぎゅっと胸が苦しくなった。



この袋で音を出さずに運ぶなんて、どれだけ気をつかったんだろう。


そんなあなたを思うと、怖さや吐き気がスッと消えていくようだった。






置かれた携帯電話を手に取ると、一つだけ登録されたあなたの番号。




時間は、午前3時を過ぎたところ。


戸惑いつつも、その番号を押さずにはいられなかった。




ワンコールで切ろう。








そう思っていたのに、ワンコールであなたと繋がった。





「どうした?」




その声に、何も言葉が出ない。


出てくるのは、涙ばかり。




「大丈夫か?」



繰り返される優しい言葉に、胸がいっぱいになる。


グズグズと鼻をすすりながら、やっとのことでお礼を言った。



「…ありがとう。これ…。」




「ああ…うん。起きたんだったら、なんか食べろよ。」




「…はい。」




「風呂は?入ったのか?」




「ううん。まだ…。」




「じゃあ、お湯をいっぱい溜めてゆっくりつかれば、またぐっすり眠れるから。

なんか食ったら、風呂入って、そんでまた寝ろ。」




「はい。」





「…じゃあ、10時に行くから…な?」




「はい。」



あなたの受話器から、漏れ聞こえてくるロックミュージック。





「もう、泣くなよ。」




「…それは…無理です。」




「なんで?」




「…あなたが…優しすぎる…。」




「友達に優しくすんのは、当たり前のことだろ?お前が泣くと、また、あのセリフを言いたくなるから、早く泣き止め。」




「…あのセリフ…?」




「だから…俺のここ、空いてるよって。…お前、俺に説明させるの得意だな。」



私は、溢れる涙を止められずに、あなたの言葉を聞いていた。


受話器から聞こえていた音楽は、もう聞こえてこない。




「ったくもう…俺のここ、使わせてやるから、ちょっと待ってろ。」




そう言って電話がプツンと切れたと同時に、カチャンと開いたドア。
















「…ほら、来いよ。」




photo:02




そう言って、手を開いてくれたあなたの胸に、私は勢いよく飛び込んだ。



















◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇







ひらめき電球「今度は私から好きと言いたい」第3話、この記事の前にUPしてあります。

http://ameblo.jp/see-la/entry-11837861392.html



4話からはあちらで書かせていただきますので、もしよろしければいらしてくださいね。


ひらめき電球「今度は私から好きと言いたい」

http://www.berrys-cafe.jp/pc/reader/book.htm?bookId=1040526&c=n




移動先では、サトシからコウタに名前が変わっています。











よろしければお気軽にどうぞ。



ただし、あちらは小説を書く場所なので、画像はありません。

その分、こちらでお話を書くときは、皆様が楽しんでいただけるように、画像を入れてのお話をちゃんと書かせていただきます。

満足してもらえるようにがんばりますので、どうか、あちらの画像のないことについてのコメントは差し控えていただきますようお願い致します。



また、あちらは嵐さんとも関係のない場所です。

普通に小説を読みに来る方がたくさんいます。


なので、嵐さんに関してはこちらのブログでお願い致します。



ひらめき電球移動先

「あなたを知りたい」蒼月ともえ

http://no-ichigo.jp/read/book/book_id/979420



ひらめき電球「愛念」蒼月ともえ


PC  http://www.berrys-cafe.jp/pc/reader/book.htm?bookId=984608&c=n

スマホ http://www.berrys-cafe.jp/spn/reader/book.htm?bookId=984608&c=n

「愛念」トップページにある、私の名前をクリック(タップ)すると、ここにしまってある、他のお話も読めると思います。


いつもありがとう。

感謝しています。





 
tomoe




iPhoneからの投稿


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2401

Trending Articles