深夜にこんばんは。
22までは、彼のことを何も知らない彼女との幸せな時間を細かくゆっくり書かせていただきました。
幸せいっぱいに、無邪気に彼女の前で「素」でいる彼のかわいさに微笑んでくれたことと思います。
このあとからは、彼のお仕事が彼女に伝わります。
また少し、お話が動いていきます。
一緒に楽しんでくれたら嬉しく思います。
では、このあとも引き続きよろしくお願い致します。
※「お返しをするとしたならば…」の記事は、お時間となりましたので下げさせていただきました。
5日22:30までにメッセージをいただいた方に(コメントに書かれた方は対象外です)、こちらから順に条件などお知らせするメッセージを送らせていただきます。
2週間程度を目安に承認作業を進めてまいりますので、気長にお待ちください。
また、何度も申しあげておりますが、20歳以上の女性が対象です。
よろしくお願い致します。
tomoe
はじめから
妄想小説@「好きで好きで、どうしても好きで。」①(大野智)
http://ameblo.jp/see-la/entry-11849983884.html
一つ前のお話
妄想小説@「好きで好きで、どうしても好きで。」22(大野智)
http://ameblo.jp/see-la/entry-11870838191.html
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第23話
駐車場に行くと、私たちの前にスッと止まるタクシー。
ふわっとドアが開いて、吸い込まれるように車内に乗り込むと、滑るように走り出す。
挨拶を交わし、昨夜、待っていてもらったことへのお礼を言った。
「よく眠れましたか?」
山田さんの問いに、あなたと私が同時に答える。
「一睡もしてねーよ!」
「はい、よく眠れました。」
…えっ?
一睡もしていないの?
「一睡もしていないなんて、最初から飛ばし過ぎじゃあ、ありません?」
「や…山田さん、ちげーよ、そういう意味じゃねーよ。」
「あ、そうでしたか?こりゃ失礼。」
「もー、止めてくれ~!待たせたのは悪かったって言ってるだろ~っ!」
「はいはい、分かっていますよ。私が専属になって、初めてですもんね。なんだか私も嬉しいんですよ。頑張ってくださいね。」
「ねー、山田さん、マジで、もう言わないでってば~!」
「はいはい、お口チャックしておきます。」
あなたは、山田さんの座席の後ろで、くねくねしながら話している。
私は、二人の会話が全く分からない。
「あの~、二人して、何の話をしているんですか?」
あなたを見ても、頭を抱えたままだ。
山田さんが、代わりに応えてくれる。
「あ―…えーとですね、ようやく春が来たらしいです。」
「えっ?春が?どこにですか?」
「すぐ近くに。」
「うぉい!やーまーだーさーーーーーーん!」
「はいはい、お口チャックですね、はいはい。」
私はあなたの方を向き、「春が来たって、どういうこと?」と聞いた。
「…さ、さあな。山田さんの頭ン中じゃねーか?お花畑になってるらしいから。」
結局なんのこっちゃわからない。
それからしばらくあなたと山田さんが、仲よく話しているのをほほえましく眺めていた。
山田さんと話し終えたあなたは、心なしか頬が少し紅潮しているように見える。
「ねえ…一睡もしなかったってほんと?」
「あ、うん、まーな。」
「…ごめんね。」
そうとは知らずに、あんな時間まで私一人だけ寝ていたのかと思うと、申し訳なくてたまらなくなる。
「あー、そんな顔すんなって。なんも気にすんな。お前がちゃんと眠れたんなら、それでいいんだ。」
「ほんとに、ありがとう。」
「俺、お前のこと、大切な友達だって思ってるからさ…。」
「私も、あなたは特別な友達だよ。」
「そっか…ずっとそう言ってもらえたら、いいんだけどな…。
ねえ、山田さん、ちょっとアレかけてくんない?」
「はい、分かりました。」
そうしてしばらくすると、車内に静かなバラードが聞こえてくる。
艶やかで、透明感のある伸びやかな声に、心を委ねて聞き入ってしまう。
「…どう?」
「なにが?」
「この曲、どうかなと思って。」
「ああ…すごく素敵な曲ね。というか、歌っている人の声が、とってもきれいで、私は好きです。」
「ああ、そっか…よかった。」
あなたはそう言って、椅子の背に持たれて目をつぶった。
ボリュームを上げて聴きながら、マンションの地下駐車場に滑り込んでいく。
入口近くでタクシーが止まり、静かにドアが開く。
降りようとしたあなたに、山田さんが「よかったですね。」と声をかけた。
あなたは、山田さんの肩をトンと叩いて車を降りる。
降りたあなたはこちらを向き、5分経ってから部屋番号を押してほしいと告げ、走って行ってしまった。
「ねえ山田さん、なにがよかったんですか?」
「…この曲、あなたは素敵だとおっしゃってくださいましたよね。」
「はい、とても素敵でした。」
「曲もそうですが、歌い手さんの方を褒めてくださいましたよね?」
「はい、魅力的な声の方でしたから…。」
「だから、よかったですね…といいました。あとはお部屋で、お聞きになってくださいね。
さあ、5分経ちました、行ってらっしゃい。そして、何も変わらず、またここでお会いしましょう。」
ドアが開き、私は外に出た。
「行ってらっしゃい。どうか、今のままのお気持ちのままで。それでは、また後ほど。」
そう言って走り去るタクシーを見送ってから、あなたの部屋の番号を押す。
ドアがサッと開いて、私はマンションの中に入った。
部屋のインターフォンを押すと、すぐにカチャンと鍵が開き、あなたがおいでと手招きする。
あなたの部屋の内側は、やっぱりあなたの香りがした。
「来て。」
奥のドアからあなたが顔を出して、私を呼んだ。
部屋に入ると、正面に大きなテレビがある。
画面は静止したまま、動いていない。
私をソファーに座らせ、あなたも隣に座った。
「テレビ、つけるから、見てくれる?」
「あ、うん。」
だけど、あなたは動きを止めたまま。
どうしたのかと尋ねると、「ちょっと聞いていいか?」と私の方を向く。
「…あのさ、お前は俺とずっとこのまま、友達でいてくれんのかな?」
「当たり前だよ。なんでそんなこと聞くの?」
「じゃあ、もし、俺が犯罪者だって言ったらどうする?やっぱり友達ではいられないよな?」
「うーん、ほんとだったらびっくりするけれど、私が見てきたあなたが本当だと思っているから、きっと友達でいると思うよ。たとえ犯罪者だったとしても、今のあなたと一緒にいたいと思うもん。」
「じゃあ、もし俺が、未来から来たエイリアンで、お前を食わせろって言ったらどうする?」
「またそれもすごい話だけれど、友達なんだから、痛くしないでねって言うかな。」
「じゃあ、もし俺が、重い病気で一週間の命なんだって言ったらどうする?」
「もちろんずっとそばにいて、一週間で一生分のババ抜きでもしようか?友達としてできることを一週間で一生分してあげる。」
「そっか…お前って…どんな俺だとしても、ずっとそばにいてくれるんだな…もし、そうじゃなかったとしても、そう聞けただけで、今までの俺も救われた気がする。」
あなたは私から視線を逸らし、画面の方を向いて言った。
「…じゃあ…もし、俺が…芸能人…だったら…どうする?」
「芸能人…?」
あなたは、リモコンを画面の方に向けた。
一時停止を解除して、動き始める画面の中の人物。
先ほど車内で聴いた歌が流れ出す。
「あ…この歌…。」
カメラは会場の様子を映している。
遠くからだんだん近くに寄っていくと、中央で歌う人物の表情が見えてきた。
…え?
これって…。
私は思わず、隣に座るあなたを見た。
「…!」
画面の映像は、人物のアップに変わる。
間違いない、たくさんの人に囲まれながら、中央のステージで歌っているのは、私の隣にいるあなただった。
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「今度は私から好きと言いたい」第3話、この記事の前にUPしてあります。
http://ameblo.jp/see-la/entry-11837861392.html
4話からはあちらで書かせていただきますので、もしよろしければいらしてくださいね。
「今度は私から好きと言いたい」
http://www.berrys-cafe.jp/pc/reader/book.htm?bookId=1040526&c=n
移動先では、サトシからコウタに名前が変わっています。
よろしければお気軽にどうぞ。
ただし、あちらは小説を書く場所なので、画像はありません。
普通に小説を読みに来る方がたくさんいます。
なので、嵐さんに関してはこちらのブログでお願い致します。
移動先
「あなたを知りたい」蒼月ともえ
http://no-ichigo.jp/read/book/book_id/979420
「愛念」蒼月ともえ
PC http://www.berrys-cafe.jp/pc/reader/book.htm?bookId=984608&c=n
スマホ http://www.berrys-cafe.jp/spn/reader/book.htm?bookId=984608&c=n
「愛念」トップページにある、私の名前をクリック(タップ)すると、ここにしまってある、他のお話も読めると思います。
いつもありがとう。
感謝しています。
tomoe