はじめから
妄想小説@「好きで好きで、どうしても好きで。」①(大野智)
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一つ前のお話
妄想小説@「好きで好きで、どうしても好きで。」32(大野智)
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「好きで好きで、どうしても好きで。」(蒼月ともえ)
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第33話
あなたに遅れて30分ほど経った後、そっと寝室のドアを開ける。
ベッドの上。
月明かりに縁取られた、座るあなたのシルエット。
目を閉じて、静かに佇むあなたの姿に、近寄りがたいものを感じて、これ以上前に進むことを躊躇ってしまう。
不思議な空気を纏う人だ。
こうして見ていると、あなたはまるで、月の使者。
闇の中にいてもなお、輝きを放っている。
あなたは、ゆっくりこちらを向いて、ゆるくふわりと微笑んだ。
「待ってたよ。」
トンと胸を突かれたような、そんな声。
途端に騒ぎ始める、私の心臓。
「…うん。」
私がベッドに近付くと、左側の布団を開いてくれる。
「ここにおいで。」
「寝ててよかったのに…。」
「それは、俺のセリフ。…さ、入って。」
私は頷き、布団の中に身体を滑り込ませると、 あなたもスッと横になった。
あなたとの間は10センチほど。
肘を曲げれば、触れてしまう距離。
太腿近くまで捲れ上がったスカートの裾を、気付かれないようにそっと直した。
素足に触れる冷たいシーツ。
緊張で背筋がピンとなる。
掛けた布団は、あなたの身体の厚みで、少しだけ持ち上がっていた。
ほんの数センチの隙間に感じる男らしさ。
尋常じゃなく熱い。
二人分の熱が、布団の中で倍に膨らんでいるみたい。
髪の先端まで、細かな神経があるようで、あなたのほんの少しの動きにも、瞬時に反応してしまう。
瞬きでさえ、ドキリとする。
咳払いで、身体がギュッとなる。
ほんの数日前は、こうしていることに安心感を覚えていた。
あなたに抱かれて眠るのは、父の温かさに似ていると感じていたからだ。
なのに今は、あなたの存在が、苦しくてどうしようもない。
逃げ出したくなるほどの緊張感に、胃がきゅ―っとなる。
あなたは寝ているの?
静かすぎて怖くなる。
そんなことさえも確認できずに、ただひたすら、気をつけの姿勢で、天を仰いでいた。
あなたの手が、私の方へ近づいてくる。
気配を感じて、ギュッと力が入ってしまう。
「手。」
あなたがそう言ったと同時に、指の間にあなたの指が、絡まるように入り込んでくる。
頬が火照り、身体が一層熱くなった。
血液が、ザーザーと音を立てて流れていくのが分かる。
「俺の方、向いて。」
心臓が、飛び出るほど大きく跳ねた。
動揺しているのを悟られまいと、静かにあなたの方に身体を向ける。
頬が引きつる。
私、泣いてないよね?
手を繋いだままで、あなたも私と向き合った。
ナチュラルに降りた前髪が、揺れる瞳を隠すように、ハラリと落ちてくる。
「…ダメならダメって言えよ…抱きしめていいか?」
薄暗がりの中で聞く、あなたの甘い声。
それだけで、どうにかなりそうだったから、私は首を横に振る。
「今日は…ダメ…このままで大丈夫。」
それなのに、あなたは空いたほうの手を私の身体に回し、グッと強く抱き寄せた。
構える間もなく抱きしめられて、爆発しそうな焦燥に駆られる。
「ダメって言ったよ…。」
蚊の鳴くような弱い声で反抗する。
あなたは、そんな私をもっと強く抱き寄せた。
「ダメって言ったからって、しないとは言ってない。」
声が、あなたの胸を伝わって聞こえてくる。
震動と温かさとあなたの香り。
「…ずるいよ…。」
「もっと怒れよ。」
「もう…そんなこと言われたら、怒れないじゃない…。」
「ごめん、でもいきなりより、ちゃんと聞いた分だけ偉いだろ?
…こうしてそばにいれば、もしまた嫌な夢を見たとしても、すぐに守ってやれるから。
窮屈かもしれないけど、我慢しろ。」
私は、怒る振りして、あなたの胸に耳を寄せた。
少しだけ早い鼓動。
「ドキドキしてるよ。」
「お前、そう言うこと言うな。余計にドキドキするだろ?
俺をからかうな、ったく悪趣味なやつ。」
たったこれだけの会話で、想いが溢れそうになる。
ツンと触れば、ポロポロとこぼれてしまいそうだ。
「私…
そう口に出したと同時に、あなたは小さく呟いた。
「友達としてできることは、これが限界だ…。」
あなたの言葉を聞いて、それ以上なにも言えなくなる。
「友達」
この言葉が、ダムの役目を果たし、溢れるギリギリのところで保たれた。
ぶつけようのない感情が、行き場をなくして、胸の中で暴れている。
重い足枷をつけられているみたいで、とても苦しかった。
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tomoe