プロローグ
妄想小説@「地味メガネ」(大野智)
http://ameblo.jp/see-la/entry-11913386920.html
一つ前のお話
妄想小説@「地味メガネ」(大野智)中学編②~女の子?男の子?~
http://ameblo.jp/see-la/entry-11914407875.html
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妄想小説@「地味メガネ」(大野智)中学編③~1に部活2に部活3,4がなくて5に部活~
部活は、森さんに頼みこまれてテニス部へ。
かっこいい先輩がいるとか、ユニフォームがかわいいとか、私にはどうでもいい理由だったけれど、少しだけ興味があったスポーツだし、せっかくだからやってみることにした。
背が高いから、バレー部とかバスケ部とか、たくさん誘ってもらったんだけど、ほんとに背が高いだけで、運動神経が特別良いってわけでもない。
期待されて入っても、大したことないってがっかりされるのは嫌だし、うちの学校はバレー部もバスケ部も強いから、やっていけるかも不安だった。
そんな感じで、部活を決めかねていたところに、森さんからのお誘い。
理由はどうあれ、ちょうどよかった。
でも、なんでみんな、背が高くて、ショートカットだと運動神経抜群だって思うんだろう。
痩せてるからか、足も速いでしょ?なんて、挨拶みたいにみんなから言われる。
至って普通。
ほんとにただ少しだけ、みんなより大きいだけなのに。
それに、誰にも言ってないけれど、高所恐怖症。
ジェットコースターもお化け屋敷も、死んでも無理。
まあ、それは、スポーツとは関係ないか…。
とにかく、テニスはラケットで勝負するんだし、背は関係ないだろうって思っていた。
多少鈍くさくても、許されるだろうって。
…それが違った。
背が高いってだけで、即戦力になると思われ、人数が足りないからと、次の試合に出すから早く上手くなれとか…先輩、そんなの無理です。
だけど、中学では先輩の言うことは絶対服従。
逆らえない。
2か月で形にならなきゃ、先輩にもチームにも迷惑がかかるってことで、とにかく必死に練習した。
おかげで、唯一女らしいと思っていた白い肌も、敢え無く真っ黒に。
それでも、負けず嫌いの性格が功を奏して、それなりに上達はしていた。
テニス経験者の何人かと私は、初心者の一年生とは別メニュー。
ネットに向かって、バコンバコンと球を打っている横で、初心者の森さんたちは、3年生の男子の先輩から、優しく教えてもらっていた。
別に差別とは思わないけれど、一応私も初心者なんですが。
スポ根マンガの主人公のような練習をしている私と、青春ラブコメの王道を歩んでいる森さんたち。
「せんぱ~~い!」なんて言って、にこにこしている姿を見ると、何だかもう、ひたすら上手くなってやるって意地になってしまう。
こうなったら、誰よりも練習して、あのニヤニヤした3年の先輩にも勝ってやる!
そして、初めて出た大会で、初めて一回勝つことができた。
その一回の勝ちが忘れられなくて、その後の私は部活バカへと変貌を遂げていく。
部活が終わり、片づけを済ませた後、下校時刻まで校庭を走るのが日課だった。
走りながら、今日の練習を振り返る。
苦しくなったら、勝つことだけを考える。
これは、うちの学校のお決まりの自主練だったので、部活を終えた生徒が、毎日たくさん走っていた。
もちろんほとんどが男子。
うちのクラスで走っている女子は、私ぐらいだった。
みんなが部活終わりにたむろしていても、私はとっとと校庭へ。
「やっちゃんも、たまには話そうよ。」
なんて言っても、どうせ話すことは、先輩がどうとか、練習がきついとか、先生が嫌だとか、そんなのでしょ?
「ごめんね、走ってくるから。」
今の私は、強くなりたいの。
たむろしていて強くなれるなら、いくらでもやるけどね。
「また明日ね!」
私は、カバンの紐をリュックみたいに腕に通して、勢いよく走っていく。
校庭にはいつも、野球部のガキ谷たちや水泳部の篠宮、陸上部の大野もいた。
ガキ谷は、
「安ゴリラなんかに負けねーぜ。」って、私を見つけて思いっきりとばすけれど、すぐに私に抜かれて悔しそう。
「ばーか!」
男子を抜くって最高!
それでも、どうしても抜けなかったのが、大野だった。
何度近づいても、ひょいっと間を開けられてしまう。
あのころ、いつも私は、
夕暮れに染まるオレンジ色の校庭で、大野のなびく髪と、汗に滲んだ背中を追っていたんだ。
つづく
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tomoe