こんばんは。
まずは、妄想小説@「地味メガネ」⑤を読んでいただく前に、こちらから先にお読みくださいませ。
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妄想小説@「地味メガネ」(大野智)についてのお知らせ
http://ameblo.jp/see-la/entry-11915545709.html
そして、上記の記事を読んでくださり、コメントをくださった皆様。
ほんとに寛大な方ばかりで…tomoeさんの好きにしてくださいって、優しく言ってくれてほんとに有難いです。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。うわあああ~~ん
…私にきっつ~~~いことを言うやつは、アイツぐらいだな(゜д゜;)
で、一つだけ、質問にお答えしますと、
私はノッポではありません。最近の健康診断では、157センチでした。
だから、背の高いやっちゃんのことは、全くの想像でございます。
しかし、中学生のお悩みっていうか、やっちゃんの揺れ動く心は体験済み。
なので、自分の中学時代を思い返しながら書いています。
それはなんと言うか、もう一度青春をやり直しているような感覚で、とっても楽しい作業でした。
そんな感じで、「地味メガネ」⑤も楽しんでいただけたら嬉しいです。
プロローグ
妄想小説@「地味メガネ」(大野智)
http://ameblo.jp/see-la/entry-11913386920.html
一つ前のお話
妄想小説@「地味メガネ」(大野智)中学編④~もやもやな気持ち~
http://ameblo.jp/see-la/entry-11915401348.html
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妄想小説@「地味メガネ」(大野智)中学編⑤~男子の気持ちが分からない~
プールの後、今日はずっとモヤモヤしていた。
何にモヤモヤしてるのか、自分でもわからなくて、それでもっとモヤモヤする。
モヤモヤの原因が分かれば、それをなくせばいいのに、分からないからどんどんモヤモヤしていって、ほんとにどうしようもない。
それは、部活の時間になっても変わらなかった。
そんなに強く打たなくてもいいのに、ボールを力いっぱい打ち返す。
「ああっ、もうっ!」
いつしか、心のモヤモヤはイライラに変わっていた。
「やっちゃん?」
森さんに呼ばれても、優しく返事なんかできない。
「今、練習中だから、しゃべるの良くないよ。」
「あ、うん、そうだね。」
森さんは、拾ったボールを私に一つ渡して、みんなのところに戻っていった。
ああ、もう、ほんとに、なんなの?
白いボールがぺちゃんこになるほど、ギュッと強く握った。
自分自身に腹が立つ。
「安田ー、ボーっとしてないで構えろー!」
先輩のボールを、ラケットの芯でとらえることができない。
「どこ見てんだ、ヘタクソー!」
上手くいかない、集中できない。
こんな気持ちでボールを打ったって、まっすぐ飛ぶわけもなく、どれもこれも大ホームラン。
テニスコートの向こうにある草むらに、勢いよくダイブしていった。
「安田ー!拾ってこーい!」
先輩に言われて、猛ダッシュ。
柵を乗り越え、草をかき分け、自分の打ったボールを探しにいく。
一つ、また一つと、白いボールが見つかって、そのうち持ちきれなくなった。
ジャージのお腹に拾ったボールを乗せて包み、とりあえずそのまま拾いつづける。
それでも、もう入らないぐらい拾ったところで一度戻ろうか、どうしようかと悩んだとき、
「安田。」と後ろから名前を呼ばれた。
「はい!」と返事をして振り返れば、松岡先輩がカゴを持って、私の後ろに立っていた。
「お前、カゴ持っていかないでどうすんだよ、そのかっこ、見てみろよ。ほら、これ使えって。」
「あ、すいません…ありがとうございます。」
御礼を言って手を伸ばせば、抑えていたジャージからバラバラとこぼれ落ちる白いボール。
「安田~~!おっちょこちょいにもほどがあるだろ~が?」
「はい、すいません。」
すぐに屈んでボールを拾い始めれば、スッと視界に入る大きな手。
アッと思って顔を上げれば、松岡先輩も屈んで拾ってくれていた。
「先輩、大丈夫です。」
「…大丈夫だったら、最初から来ねーし。」
「…はい?」
「あのさ、ついでだから言うけど…
いつもは怒ってばかりの先輩が、すごく優しい顔して笑っている。
雰囲気が違って、どこを見ていいのかわからない。
「お前、よく頑張ってるよな。すごく教えがいがある。
内緒だけどさ、あいつらを教えてるより、安田に教える方が超楽しいぜ。」
松岡先輩は、森さんたち初心者グループの方を見ながらそう言った。
「…あ…えっと…。」
「褒めてんだから、ありがとうだろ?」
「あ、ありがとう…。」
「ございます。」
「ご、ございます。」
先輩は「うん」と頷き立ち上がると、コートの方を向いて私に言った。
「よし、じゃ、戻るぞ。」
「あ、はい。」
私も慌てて立ち上がる。
「貸せ。」
「あ、いえ…。」
先輩は、私からカゴを奪うようにして手に持つと、草を大きく踏んで、通りやすいように道を作ってくれた。
そうして、柵の所までくると、急にくるりと振り向いて、私の頭をポンと叩いた。
「安田って、小っちゃくてかわいいな。」
「ほえっ?」
びっくりして、変な声が出る。
先輩は、ゆうに180センチを超える人で、男の人をこんなに見上げることは今までなかった。
「お前、今日はイライラしてたみたいだけど、そんなんじゃいくら練習しても上手くなんねーぞ。
どんな時でも平常心。勝つことだけを考える。…分かったか?」
「あ、はい。」
「安田は素直だな。」
それまで浮かべていた微笑みが消えたかと思うと、先輩は、ひらりと向きを変えてコートに戻っていった。
なんかよく分からないけれど、身体がモゾモゾする。
なんだろう…この感じ。
かわいいって?
小さいって?
なに?なに?なんなの?
私も、やっとこ柵をよじ登って、コートに戻る。
ラケットを持って構えれば、先輩の顔はいつものように怖くて、練習が終わるまで怒られてばかりだった。
さっきの先輩は、なんだったんだろう。
練習が終わった後は、いつものコース。
夕暮れの校庭を、時間になるまでひたすら走る。
今日も、いつものメンバーが校庭に集っていた。
私は、大野を探す。
森さんのこと、お礼を言いたかったから。
夕日を浴びて、走る大野を見つけると、私も急いで走り出す。
なんとか横に並ぼうと、スピードを上げた。
相変わらず、大野はひょいっと間を開けて走っていってしまう。
くそっ、ぜんっぜん追いつかない…。
私だって速くなっているはずなのに、大野はもっと速くなっている。
がむしゃらに大野を追っているうちに、下校時刻のチャイムが鳴り始めた。
大野は、走るのをやめて、カバンが置いてある場所に戻っていく。
私は、急いで自分のカバンを掴むと、大野を追った。
「大野!」
帰ろうと歩きはじめた大野を呼び止める。
「大野、待って。」
大野は足を止め、ゆっくり振り返る。
眼鏡にオレンジ色の夕日が反射して、表情は分からない。
「あのさ、今日の、プールの、森さんの…あれ、助けてくれたんでしょ?」
大野は答えない。
「あの、だから、教室で水谷たちが、森さんのことを…それで、大野が、先生が呼んでるって言って、止めてくれたんでしょ?」
なんだか、自分でも何言ってるんだか分かんなくなってきた。
「とにかく、森さんを助けてくれてありがとう。」
大野が一歩私に近付くと、メガネの反射は陰に隠れ、その表情が良く見えた。
私を見上げる大野の目が、少しだけ細くなる。
「あれは…森さんを助けたんじゃないよ。」
「えっ?」
「じゃ、もう行くね、このあと塾だから。」
「あ、うん。」
大野は、踵を返して走っていく。
~あれは…森さんを助けたんじゃないよ。~
頭の中で繰り返される大野の言葉。
…じゃあ、誰を助けたっていうの?
校門にすいこまれていく大野の背中を、私は見えなくなるまで見つめていた。
とりあえず、終了です。
またそのうち会いましょう。
あ、松岡先輩は、TOKIOの松岡君のイメージです。
画像も、若かりし頃の松岡君をお借りしました。
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感謝しています。
tomoe