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妄想小説@愛念④(大野智)

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妄想小説@「愛念」①はコチラ


http://ameblo.jp/see-la/entry-11557388231.html



初めていらした方は、第一話から読んでみてくれると嬉しいです(´∀`)







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ザーッ



…シャワーの音って、雨の音に似てる…











「先輩、雨降ってきましたね。」


「ん?あ…雨か…。」



放課後の美術室。

先輩と特訓の最中。



Blue Moon~大野智~ 嵐×妄想小説-image



私は窓に駆け寄って、外を眺めた。


「すっごい降っていますよ?」



ザーッ



叩きつけるような雨の音。


バケツの水で筆を洗いながら、窓の外に目をやった。

「今日はこの辺でやめっか?帰れなくなったら大変だからな。」


「はい。今、片づけますね。」


私は、机の上に広がっている画材を片付け始めた。



Blue Moon~大野智~ 嵐×妄想小説-image



「あ、いいよ、あとは俺がやるから、お前は帰る準備しろ。」


そう言って先輩は、私の手から筆の束を奪っていった。



「いいから、早く準備しろ。」


「はい…ありがとうございます。」



私は、エプロンをはずしてたたみ、制服のブレザーを羽織った。


隣の椅子には、先輩のエプロンが無造作に投げかけてある。

私はそれを小さくたたんで、机の上に乗せた。



「用意できたか~?」

準備室から先輩が戻ってきた。


「はい、できました。」


「よし、じゃ帰るぞ。」


先輩はブレザーを羽織って、カバンを持った。

机の上に乗せたエプロンに手を乗せて、こちらに振り返る。



「あ、これ、サンキューな。」


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そう言って、突然笑顔のプレゼント。



「あ、いえ、はい…。」


びっくりした…

もう、急にそんな笑顔向けないでください…



ドンドンと大きく叩くような心臓の音。

私は、先輩の笑顔が一番好きだ。









玄関を抜けて外を見れば、バケツをひっくり返したような大雨。



Blue Moon~大野智~ 嵐×妄想小説-image


2人してしばらくその場に立ち尽くす。



「さて、どうすっか。」


そう言って、先輩は私の顔を覗き込む。



「行くか?」


「はい。」


傘をバサッと開いて、雨の中を歩き出す。

バラバラと大きな音を立てて、雨粒が傘に当たる。


「うわっ、すげえな。」


先輩が肩をすくめた。


足元はすぐにびしょびしょになった。

革靴にも水が入って、歩くたびにガボガボと音を立てる。


傘の柄を短く持って、身体を縮めて進んでいく。

足元は小さな川のようになっていた。





すると突然強い風。


私の傘は反対に反り返り、ビニールの部分はあえなく飛び去っていった。



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手に残ったのは傘の針金だけ。

一気に雨に当たって、私はずぶぬれになった。



「おいっ、大丈夫か?」

先輩が私に傘をかざしてくれる。


「あ、はい、大丈夫です。でも、これ、どうしましょう?」


骨だけになった傘を先輩に見せると、大笑いされた。



「笑わないでくださいよ、ちょー焦ったんですから。」


先輩はごめんと言って、小さく頭を下げた。

でも、その顔は半笑い。


「もー、その顔、本気で謝っていませんよね?…それより、先輩がびしょ濡れじゃないですか!」


気付けば先輩の傘は、私の上に全部あった。

先輩の髪からは、ポタポタと雫が落ちている。


「やだ、もう、もっと、ちゃんと傘さして…


私は自分の上にある傘を、グイッと押しやった。



「それじゃお前が濡れるだろ?」


そう言って、傘を私の上に戻してしまう。


「先輩が濡れちゃうのは嫌なんです。だから、ちゃんとさしてください。」


「…俺だって、ナナが濡れるのやなんだよ。」



先輩が一つ息を吐いた。



「だったら、こっち来いよ。」



先輩は私の腕をグイッと掴んで引き寄せた。




「これなら二人とも濡れないだろ?」


狭い傘の中に二人で入りながら、黙って歩いていく。

制服越しに腕が当たっている。


あまりに近すぎて、先輩の息遣いも分かるほど。

もしかしたら、私の心臓の音も聞こえているかもしれない。


わざとバシャバシャ音を立てながら歩いた。

恥かしさで、身体が溶けないようにと、懸命に歩いた。



「お前のうち、もう少しだったよな?」


「あ、はい、でも…


「いいよ、このまま送っていくから。」


そう言う先輩の横顔は、雨に濡れてドキッとするほど色っぽい。

雨の匂いと先輩の匂いが私を包む。





突然、後ろからビュッと大きく風が吹いた。


「おわっ!」


先輩の傘も反対に反り返り、骨が折れて壊れてしまった。


「っんだよ!あと少しだったのに!」


先輩はブレザーを脱ぐと、バサッと私にかぶせた。



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「行くぞっ、走れ!」


私の肩に手を回して一緒に走り出す。

先輩の手の温かさが、濡れた制服を通しても感じられた。












はあはあはあはあ…


「着いた…。」


私のうちまでたどり着いた。

でも、二人ともびしょびしょ。



「先輩…ごめんなさい。」


「いいよ、何言ってんだ?」

そう言いながら、私の頭に手を伸ばして、ポンポンと叩いた。


「早く入れ、風邪ひくから。」


「はい…でも、ちょっと待っててください、今、傘とタオル持ってきますから。」


「ああ、いいよ、もうこのまま走って帰るから。」


「でも…



「いいから、早く入れ!ほらっ!」

私の背中を押して、家に入るように促した。


「でも…


「いいから、早くっ!」


私は家の鍵を開けて、ドアを開けた。


「待っててくださいね。」


私が家に入るのを見届けて、先輩はすぐにランニングの体制に入った。



「風邪ひくなよ、じゃあなっ!」


そして、そう言うなり、あっという間に走っていってしまった。



「先輩…。」


走っていく先輩を見送って、ハッと気づく。

頭の上にかぶせられているブレザー…先輩のだった。


「どうしよう…これ…。」


絞れるほどに濡れた先輩のブレザー。

私はそれを胸にギュッと抱いて、ありがとうとつぶやいた。












ザーッ




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あの時のブレザー、きれいに手洗いして、アイロンをかけて持っていったんだっけな…


部屋に置いてある、先輩のジャケット。

それを手に取って、あの雨の日を思い出す。


こうして胸に抱いて、あの日は眠ったんだっけ。

ジャケットを同じように抱きしめる。


香る甘い匂い。

あのころとは、少し違う大人の匂い。


胸の奥がキュンとなった。







「何してんの?」


ドッキ―ン…


私は恐る恐る振り向いた。

そこに立つのは、お風呂から上がった先輩。


ワイシャツを軽く羽織って、ズボンを膝まで折り曲げた姿。

髪は濡れていて、まるであの時のようだった。



「あ…あの…あ、これ…ボタンが取れてるから…


そう言って苦し紛れに触ったボタンは、ほんとに今にもとれそうだった。


「あ、そうなんだよ…それ、つけてくれんの?」


先輩が近づいてくる。

プーンと桃のいい香り。


「あ、はい、今。」


焦って立ち上がろうとして、フラッとよろける。

私は、咄嗟に先輩のズボンを掴んだ。


「わっ!」


ずり下がったズボン。

私は先輩のパンツとご対面。



「きゃっ!」


驚いたのと恥かしいのとで、俯いた。


「おまっ、何すんだよ。」

先輩は笑いながら、ズボンを上げる。


「す、すいません…。」

私は消え入りそうな声で謝った。




先輩が私の前に来て、胡坐をかいて座った。


「おーい!こっち向けって。怒ってないからさ。」


その明るい声にホッとして、ゆっくり先輩の方を向いた。

優しい笑顔で私を安心させてくれる。



「じゃ、お詫びに、俺の質問に正直に答えること。」


私はコクリと頷いた。


「なぁ、ナナって…彼氏いたんだよね?」




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「あ、はい。」



「…したの?」


「えっ…したって?」


ドキドキが溢れだして、こぼれてしまいそうだ。

顔が熱い、たぶん真っ赤だ…


「だから、キス、したの?」



「え?キス…?」


「正直に答えて。」


「あ…はい…。」



「したんだ?」


「はい…。」


そうかと言いながら、先輩は一つ息を吐いた。




「じゃ、高校のときは…したことあったの?」


「あ、ありませんよっ!」


「そっか…。」



心臓が口から飛び出るんじゃないかってくらい、ドキドキしてる。

先輩を見れば、バチンと目が合った。


顔がグイッと近づいてくる。


「お前のファーストキス、どんな奴がもってったんだ?」


「ど、どんなって…。」



「どんなふうにされたんだ?」


「どんなふうって…その…


「あー、もういい、答えなくていい。」





「こんな風に、か?」


先輩は私の顎を掴んで、クッと上にあげた。


「えっ…


顔がもっと近づいてくる。












フーーーーーーーッ


息を吹きかけられた。



「顔にゴミついてっぞ。」



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「えっ、あ、やだ、すいません…。」



先輩は立ち上がって、私の手の中にあるジャケットを取った。



「もう帰るよ。」


そう言って、自分のカバンを手に取ると、スタスタと玄関に向かった。



私もあわてて玄関に向かう。


「ありがとな。」


「あ、はい。」



「おやすみ。」


「おやすみなさい。」


そのままドアを開けて、私の部屋から出ていった。







はあああ…私はその場にへたり込む。


もう…こんなんで、私、やっていけるのかな…

心臓がいくつあったって足りないよ。





これが、先輩の引っ越し初日の出来事でした。



Blue Moon~大野智~ 嵐×妄想小説












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