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妄想小説@「愛念」⑥(大野智)

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妄想小説@「愛念」①はコチラ


http://ameblo.jp/see-la/entry-11557388231.html



初めていらした方は、第一話から読んでみてくれると嬉しいです(´∀`)





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Blue Moon~大野智~ 嵐×妄想小説-image



「ナナちゃん、会いたかった。」


そう言って私をギュッと抱きしめる。


「あ、待って…。」


私は彼を押し戻そうしたけれど、もっと強く抱きしめられて動けない。


「ナナちゃん…。」


彼は私の背中に回した手を、上下左右にと動かした。




ゾクッとした。

嫌だった。


思い出す、あのとき彼に感じた怖さ。


「ナナちゃんのこと、忘れたことなんてなかった。」


彼の息が上がっていくのが分かる。

…あの時の…部屋で変わっていった彼の息遣い。

今も強く耳に残っている。


逃げたい、怖い。




「ナナちゃん、こっち向いてよ。」


私は下を向いたままだった。

身体が小さく震え出す。


すると彼は、私の頬を両手で包んで、無理に顔を上げさせる。


「震えてんの?可愛い…


顔を斜めにしながら、近づいてくる彼の顔を手で押しのけた。



「お願いだから…離して…


涙が自然と溢れてこぼれて落ちる。


「なんで?ナナちゃん、なんでだよ?」



「ごめんなさい、私、もう…


私は彼に謝ろうと、頭を下げた。

涙が次から次へと溢れだす。


「はっ?なんでだよ!ふざけんなよ!」



彼の声が一変する。


「まさか、好きなやつができたって言うんじゃないだろうな?」


「…お願い、ちゃんと聞いて…



「ずっと探してたんだよ、ナナちゃんのこと。こんなにずっと想ってたのに…。」


「…


「黙んなよ。連絡先も知らずに変わってるし、会いたくたって会えなかったんだよ!」


「でも…でも…


「でも、でもってうるさいよ!ナナちゃんさ、俺のこと散々待たせて逃げるなんて卑怯だよ!」



彼は、私のことをもう一度抱きしめる。

「好きなんだよ、ナナちゃんじゃなきゃダメなんだよ。」



「離して、これじゃ話できないよ。」


「もう、話なんてどうでもいい!」



そう言って、私の後頭部を押さえつけ、顎に指をかけた。


「キスぐらいさせろ。」



「…やっ…


ギュッと唇を閉じて、抵抗した。




Blue Moon~大野智~ 嵐×妄想小説


だけど、男の人の力にはかなわない。

私の唇に彼の唇が強く覆いかぶさってきた。





…助けて…先輩…







その時、アパートの階段を昇ってくる音が聞こえた。


彼は私をパッと離すと、


「また来るからな。」


そう言い残して帰っていった。




私はその場に座り込む。


唇を手で何度も拭った。

何度も何度も拭った。















「ナナ…?」


名前を呼ばれてドキリとする。


智先輩だった。



「どうした?」


先輩が私の前で膝をつく。


「おいっ、お前…


私の顔を見て、言葉が途切れる。


「なんだこれ…


私の手に長く残る口紅の後。



「ナナ!」



「…。」



「黙ってたんじゃわかんないよ!」

珍しく声を荒げて、私の顔を覗き込んだ。



私は先輩の方に顔を向けた。

でも、目は、合わせられない。


「せんぱい…私…


それ以上は言えなかった。

汚い自分を見せたくなかった。



「いいよ、分かった。でも、このまま帰すわけにはいかない。」


先輩は、私の肩をそっと抱き寄せた。



「とにかくうちに来い、な?」



Blue Moon~大野智~ 嵐×妄想小説-image


その声に安心したのか、涙がふわっと溢れてくる。


「せーのっ!」

私の腕に手を添えて、ゆっくり立ち上がらせてくれた。



「俺んち、散らかってるけど、気にすんな。」


そう言って、優しく微笑んでくれる。

涙が溢れて止まらなかった。







玄関のかぎを開け、私を部屋に招き入れてくれた。


部屋のソファーに座るように促され、先輩はキッチンへ向かう。


私はさっきまでの出来事に動揺して、時々押し寄せる震えと闘っていた。



「ごめん、これしかないや。」

そう言って渡されたのは、ペットボトルに入ったお茶。


小さく頭を下げて、お茶を一口 口に含んだ。




「それからこれ。」


濡れたタオルを渡される。


「顔、拭けよ。」


私が躊躇していると、


「貸して」と言って、私の手からタオルを取り、唇と頬の辺りをきれいに拭いてくれた。




「大丈夫か?」


「…はい。」


そう言ったものの、身体の震えはおさまらない。



「震えてる…


先輩は、震える私の手に手を重ねて握ってくれた。


「何があったかわかんないけど…ごめんな…



謝る先輩にびっくりして顔を向けた。


「ごめんな…怖かったか?」


私の頬に指先でそっと触れる。



「守ってやりたかったのにな…


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先輩の手に、私の涙が伝わっていく。


「もう、泣くな…頼むから…








そうして私が落ち着くまで、長い時間隣にいてくれた。



「…何があったか、聞いてもいいか?」


優しい声に促され、突然彼がここに来たことを話した。


でも、キスをされたことは言えなかった。

私の口からは、言いたくなかった。



「そっか…じゃ、これからは、帰りもできるだけ一緒に帰ろう。」


「えっ、さすがにそれは…


「いいんだ、俺がそうしたい。ナナは仕事が終わったら俺の携帯に必ず連絡入れろ、分かったな?」



「…はい。」








「それから…もう、忘れろ。」



「えっ?」


「そんなに何度も口を拭っていたら、いくら鈍感な俺だって分かるよ。」


私は胸がギュッと痛んだ。

されたこと、分かっていたんだ…



「先輩…私、汚いよ。」


「お前、なに言ってんだよ。」



先輩は私の口に手を当てた。


「そんなこと言うな。」



「…。」


「ナナ、俺がそばにいるから。」


先輩の言葉に胸が熱くなる。



「すぐに忘れられるから。」


大丈夫だと、私の頭をポンポンと軽くたたいた。




「…先輩…


私は下を向き、目を閉じた。

繋がれた先輩の手が温かくて、ずっとこのままこうしていたかった。



「ナナ…


名前を呼ばれて顔を上げる。



「俺が…



お互いの視線が交錯する。


私が先輩の胸に飛び込んだのと、先輩が私を引き寄せるのとが同時だった。





Blue Moon~大野智~ 嵐×妄想小説
















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どうしてもここまで書いておきたかったの。

だから、連続アップでごめんなさいo(_ _*)o


だって、今日の生放送が終わったら、またしばらくお話が書けそうにないんですもんσ(^_^;)





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