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追記あり:妄想小説@「tears of love」①(大野智)

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「行こう、俺と。」




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私は、差し出された彼の手を掴んで、

降りしきる雨の中を、全力で走った。




































「大野くん、大野くんってば、いい加減起きなさい!」




机に伏せて寝ている大野くんの肩を掴んで、二 三度揺さぶった。




「あー、もー、うるせーなー。」




大野くんは、ゆらりと身体を起こして、私をチラリと見ながら、教科書をパラパラめくる。




「132ページを開いて。」



開いた132ページは、5分も経たないうちに、大野くんのベッドになった。












他の先生のときには、真面目に授業を受けていると聞く。

大野くんがひどい態度なのは、私の授業だけだそうだ。




「増井先生が、生徒を甘やかすからですよ。私の授業で寝てるやつなんか、一人もいませんから。」


「まあ、若い先生は、しょうがないですよね、経験値が低いですから。」


「しっかりしてくださいよ、一応期待していますんで。」





また呼び出されて、さんざん嫌味を言われた。


悲しくて泣けてくる。

けれど、声に出しての反論はしなかった。


何をどう頑張ってみても、大野くんの態度が変わらないのは、事実なのだから。








もう、このままではいけないと、他の先生が大野くんを呼び出した。


ふざけた態度の理由は、「私が嫌いだから」だそう。




「大野に何かしたんですか?生徒に嫌われてるようじゃ、どうしようもありませんね。」





私だって、あいつのことは嫌いだ。



仕事だから構っているけれど、そうじゃなきゃ、絶対寄り付かない。

頼まれたって、寄り付いてなんかやるもんか!






「とにかく、大野のテスト、あれ酷すぎますよ。なんとかしてくださいね、先生。」



「…はい。」




大野くんは、進路を左右する大事なテストで0点をとった。



真っ白の答案は、私の責任。

なんとかしなくてはいけない。





「放課後、残りなさい。話があります。テストはそのとき返します。」



私は、机に伏せた大野くんに向かって、淡々と告げた。




大野くんは、きっと来ないだろう。















放課後、急な会議が入り、それが終わる頃には、日も暮れかかっていた。


オレンジ色に染まった廊下を、急いで歩いていく。


大野くんは、いないだろう。



けれど、もし教室に残っていたら、かなり待たせてしまったことになる。



とにかく急ごう。


下校を促す放送が、校舎内に響いている。


外から聞こえる部活の声は、どれも練習の終わりを告げていた。










五階は、シンとしている。

一番奥の教室が目的地。




たどり着いたドアの小窓から、教室の中を覗いて驚いた。



…いる。

大野くんが、いる。


自分の席に座って、外を眺めている。





私が、急いでドアを開けると、大野くんはこちらを向いた。



「あ、ごめんなさい、急な会議が入ってしまって。」



私がそう言うと、「別に構わない。」と静かに答えた。


その姿が、なんだかいつもと違う気がして、どうかしたのかと声をかける。



「うるせーよ。どうもしねーよ。」


「そっか。なら、いいんだけど。」



一瞬、いつもの棘を感じなかったのは、やはり気のせいだったのだろう。




「帰りてーから、早くして。」


「あ、うん、そうだね。」



慌てて私は、机の上にテストを置いた。




「これ、どうして?理由を教えて。このテスト以外は、どれも平均以上取れてるって聞いたから。」



大野くんは、チラリと私を見てから横を向く。




「あんたが嫌いだから。」




別に好きになってくれとは言わない。

けれど、面と向かって嫌いと言われるのは生徒と言えど、やはり傷つく。



「もういい?あんたといると、寒気する。」


大野くんは、カバンを引っ掛け立ち上がった。



「ちょ、ちょっと待って。私が嫌いでも構わない。でも、テストだけはちゃんとやらないと、進路に響くから。追試はちゃんと受けてよ、いい?」



「ゴチャゴチャ、うるせーよ。」


大野くんは、机の上の答案を掴むと、ぐしゃっと丸めて制服のポケットに突っ込んだ。



「そんなことしちゃダメだって!」



私は、大野くんのポケットから、丸めた答案を引き出そうと、身を乗り出して手を伸ばす。






「痛っ!」


大野くんは、それを阻止するかのように私の腕をグッと掴んで言った。




「俺は、あんたが嫌いだ。」




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「だ、だからなによ?」



「追試、満点だったら、二度と俺に関わんな。」



「満点?いいわよ。じゃあ、満点取れなかったら、私の言うこと聞きなさいよ!」







「交渉成立。」



大野くんは、掴んでいた手を離して、教室を出ていった。





























続く







…………





追記




こんにちは。




朝、バタバタしながらアップしたので、なんのご挨拶もなくてすいません。



やっとちょっと時間ができたので、追記させていただきますね(^ ^)



最近の私が、若智のダンスばっかり見ているせいか、

浮かんでくるお話はどうしても若智が主人公のもの…つまり、学生ものになってしまいます(・・;)



分野的には大好きなので、自分としては全く問題ないのですが、

読んでるみなさんにとっては、好き嫌いが別れるところでしょうか。





このお話は、もともと読切の一話完結のつもりであらすじを書いていたんですが、


そこに肉付けしたら、一話ではまとまりきらなくなってしまったので、もう少しだけ続きます。




私の書くものを、無条件に受け入れてくださる皆様が、今ここに、どのくらいいらっしゃるのかはわかりません。





分からないけれど、
アメブロは私のお話の原点。


もう一度、初心にかえって、楽しんで書いてみたいと思っています。





よろしければ、最後までお付き合いくださいませ。



なお、挿絵は、大好きな絵師さんのものを使わせていただいております。



絵師さんには、失礼のないように、お話に使う際には、必ず了承を得ております。













それては、今日も素晴らしい一日を!






tomoe







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