妄想小説@「君ヲ想フ」①(大野智と相葉雅紀)はコチラ↓
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アラームで目が覚める。
…7時半か…
俺は半分起き上がって、部屋を見渡す。
潤は見当たらない。
代わりに、テーブルの上に置き手紙。
―― 会議なので先に出ます ――
律儀なやつだな…
俺はバスルームに向かい、シャワーを浴びた。
昨夜のあれは、なんだったんだろう…
今も脳裏に浮かぶ景色。
俺を呼ぶ声。
懐かしい声だった。
俺を呼ぶ誰かに…ふと 会いたいと思った…
それから俺たちは、仕事が終われば共に帰り、食事をした後はどちらかの家に泊まるようになった。
あの日以来、キスやハグは当たり前の行為になっていった。
だが、それ以上進むことはなかった。
潤は、俺のことを待つという。
俺の気持ちがもっと自分に向くまで、このままでいいという。
俺は潤の気持ちに応えようと何度も思ったが、そんな時はいつもあの風が吹いた。
風は俺にしかわからない。
潤は、風には気づかない。
俺だけにしか…
俺がベッドに寝ていると、潤は俺の腹に頭を乗せて寝転がる。
「…大野さんじゃなくて、「サトシ」って呼んでいいですか?」
いいよ、と言おうと口を開けた瞬間、またあの風が吹いた。
「…大野さん?」
「…いや、このままで…このままがいい…名前で呼ばれるのは苦手なんだ…。」
俺は嘘をついた。
なぜだかわからない…ただ「サトシ」と呼ばれてはいけない気がした…
「…そうですか。」
潤はゴロンと回転し、俺の上に重なった。
「大野さん…
「ん?
「俺のこと好きですか?」
「ああ…
「じゃあ、大野さんからキスしてください。」
そんなこと言わない潤が、急にどうしたんだろうと躊躇していると、
「いや、いいです。なんでもないです。おやすみなさい。」
そう言って、俺に背を向ける。
「おい?」
俺は潤の肩を掴んで、こちらに向ける。
顔を歪めて小さく笑う潤。
俺は潤の唇に触れるだけの、軽いキスをする。
「…俺…苦しいです…こんなに近くにいるのに…すごく遠くに感じる…
「潤?」
「大野さん…好きなんだ…とても…深く…あなたを…
潤は俺の首に腕を回して、強く唇を押し当てる。
激しく感情をぶつけるようなキス。
いつもとは違う潤の様子に戸惑った。
「今日は…どうしたんだ?」
「分からない…
潤は俺をきつく抱きしめた。
「どこにもいかないでください…
「…ああ…心配するな…
俺は潤の髪を撫でながら、自分の心の中にある何かを感じていた。
次の日、出社するとすぐ、潤と一緒に部長に呼ばれた。
中途入社で入ってくるやつがいるという。
仕事はできる…ただ…
部長の話には驚いたが、仕事の腕は確かだということで部長自ら引き抜いてきたそうだ。
しばらくしてドアが開き、俺たちと同い年ぐらいの男が入ってきた。
「相葉マサキ君だ。」
部長が言うと、彼は頭を下げた。
「松本、お前、手話できたよな?」
「あ…はい、少しなら…。」
「じゃ、頼んだぞ。」
彼は、手話を使って話しはじめた。
潤はそれを見て、通訳してくれる。
そう、彼は声を出すことができなかった。
俺は彼のことを、潤と一緒に世話していくことになった。
驚いた…
確かに仕事はできる。
でもそれは、ただ単に仕事ができるということではなく、心が通じている…というか、次にこうしてほしいということを、何も言わなくても分かってくれる…彼は、そう言うやつだった。
言葉を交わさなくても、なぜか俺の意思が伝わる。
不思議だった。
そんな俺たちの働きぶりを見ていた潤が、俺を呼び出した。
「大野さんは、手話を使わずに、なんであいつと話せるんですか?」
「俺も分からない…ただ…わかるんだよ、あいつの考えていることが…。あいつも、俺の考えが分かっているみたいに動いてくれる…。」
「そうなんですか…すごいですね…
すごいという割には、潤の言葉には心がこもっていなかった。
その夜 潤は、俺を痛いくらいに抱きしめて、朝まで離してはくれなかった。
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