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小説@「君の幸せは俺を不幸にする。」〜霊界ロード444〜①

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俺って誰?







人が四方八方から歩いてくる。

俺は、その真ん中に立っていた。







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ここは、どこだ?







気づけば周りには誰もいなくなり、クラクションが鳴り響いている。


俺は、咄嗟に耳を塞いで、目をつぶった。


なんなんだよ、これは!
















「…早く、向こう側にいけってことですよ。
そんなこともわからないんですか?
あ~あ、これから先が、思いやられますな。」





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不意に飛び込んできた声に、驚き顔を向ければ、俺の肩にインコ。

黄色いやつ。






「誰だ、お前?」



「そんなこといいですから、早く向こうまで走るんですよ、ほら、早く。」



インコは、俺の後頭部をガンガンつついた。




「いってー、いてっ、いててっ!」



追い立てられるように、道路を渡り切ると、すぐ目の前をビュンと車が走り出す。




「あなた、あの真ん中に立っていたんですよ。全く、落ちる場所、もう少し考えた方がいいですよ。

でもまあ、車に当たったぐらいじゃ、あなたは死にませんけれども。」



インコは、呆れた様子でつぶやきながら、俺の頭上を一回りして、また肩に止まった。





「お前、誰だ?」




「見てわかんないんですか?インコですよ、イーンーコ。

はあ…全く。
人間界に落とされても、相変わらずダメダメですね。

これじゃ、いつになったら霊界に戻ることができるやら…。
ほんとに、今度こそちゃんとしてくださいよ。私はもう、巻き添えはごめんですから。」




インコのくせに、ため息をついた。



「おい、お前の言ってること、全然わかんねーぞ。

だいたい、なんだその霊界っつうのは?」



インコは、本当に分からないのか?というように、丸い目をもっと丸くして、俺を見た。





「あなた、前職は何かご存知ない?」




「仕事か?知らん。
つーか、俺自身も、なんであんなとこにいたのか、自分が誰なのかも分かんねーし。


お前、俺のこと知ってるなら、俺は誰だか教えろ。
この際、インコがしゃべることについては気にしないでおくから。」






「いや、そこは気にしてくださいよ。


それにしても、人間にされる場合は、霊界の記憶が消されてしまうんですね。

きっと、話ができるから、いろいろと厄介なんでしょうな。
動物や鳥なんかと違って。

それじゃあ、仕方ないんで、その前に、なんか食べる物を…うわっ!」



「ごちゃごちゃうるさいな、こいつ。
いいから早く教えろ。」






俺は、インコを掴んで、顔の前に持ってくると、


「教えねーと、ぶん投げるぞ。」


と、ボールを投げるように、振りかぶった。





「おいいいいっ!やめてください。やーめーてー!」




「じゃ、わかりやすく説明しろ。あ、短くな。」



俺は、インコを左肩に戻すと、花壇のふちに腰を下ろした。



「ふぅ…ほんとに、乱暴はやめてくださいよ。」


インコは俺の隣にぴょんと飛び降りて、乱れた羽を直しながら、話し始める。




「あなたはですね、死神なんですよ、本当は。」




「死神?なんだよ、それ?」



インコは、チラッと俺を見たあと、ゴホンと咳払い。


「ほんと、相変わらずせっかちですね。
ん、まあ、とにかく最後まで聞いてくださいよ。

それでですね、簡単に言うと、あなたは約束を破った罰として、人間界に落とされたんです。


私を道連れにして。
なんで、私がインコなんだか、非常に不満が残りますが…。


まあ、とりあえずここで、人間の「不幸の涙」をこれに貯めれば、また霊界に戻れます。」






インコは、胸をはって、首にかかった小瓶を俺に見せた。




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「不幸一つに涙一滴。

この瓶がいっぱいになるには、どのくらいの不幸が必要なのかは、まだわかりません。


か、しかし、やらねばならないのです。
やらなければ、今度こそ、
私たちは消滅させられてしまうのです。



あの…
簡単に説明しましたが、これで分かりましたか?」





俺は、インコの首から小瓶をとって、上や下、横や斜めと、いろいろな方向から眺めていた。





「わかったような、わからないような、まあ、いいか。

とりあえず、誰かを不幸にして、その涙をここに集めりゃいいんだな?


…あ、これは、なんだ?」




うっすらと数字が見える。
時計のようだけど…?



「なんですか?見せてください。…あっ、これは…?

まさか、このタイマーが0になるまでに、ということでしょうか…444…

もしや、今日から人間時間の444日後ってことでしょうか…。


こりゃ、大変だ!
早くなんとかしないと、大変ですよ!」



インコは、ぐるぐるパタパタ、その辺を飛んだり跳ねたりせわしなく動いている。




「おい、そう慌てんなよ。
444日後だろ?まだまだ先じゃねーか。」




「…たしかにそうですが、

好き勝手にやれば良いわけでなく、これには4つのきまりがあるんです。


ただ…。」




インコは、胸の毛の中から、小さな紙を取り出して見せてくれた。




「ここを見てください。
半分ぐらい破れてしまっています。

たぶん、ここに落とされたときに、破れてしまったのだと思われます。

とりあえず、一つ目のきまり、あなたが直接手を下して、相手を不幸にしてはいけないということは、読み取れますが…


二つ目の人に感謝されたり、良いことをすると…の後は読めませんし、

残り二つのきまりは、全くわかりません。
私がもっと気をつけていれば…。」




そう言って肩を落とすインコを手に乗せ、顔の前で、その小さな黒い目をじっと見つめる。




「いいじゃん、とりあえず、やってみるよ。
自分で相手を不幸にしなきゃいいんだろ?それだけわかれば、充分だ。

こんな小さい瓶なんか、すぐに不幸の涙でいっぱいにしてやるよ。」




「…霊界にいるときから、そんなあなたの言葉を信用して、とんでもないことになったんですが…。」




インコは、足をあげて頭をかいた。




「それでも、俺んとこにいてくれるんだろ?霊界のことは覚えてなくて悪いんだけどさ、…また、よろしくな。」



俺は、人差し指を出した。
握手の代わり。


インコは、俺から目線を外して下を向き、その指に片足をかける。



「ん…まあ、あなたのことを理解できるのは、私しかいませんからね。」








「…えっと、お前のこと、ここではインコって呼べばいいのか?」




「イ、インコ!
私がインコの姿でいるのなんか、おおいに不服なんですから、それは勘弁してくださいよ。


私の名は!
私の名は…って、名前なんか、霊界の頃から、私たちにはありませんよ。」





「じゃ、お前、黄色くてうるさいから、キイロンな。」




「…うるさいの要素、一つもないじゃないですか。」




「まあまあ、いいじゃん、キイロン。

じゃ、俺は…どうするか。」




「私の名付けの法則から言うと、あなたは真っ黒なので、真黒(マクロ)ですかね?」



「なんか、それはどうなんだよ?真っ黒だからマクロって。」



「いや、私のキイロンだって、たいがいですよ。」







2人の間に流れる微妙な空気。





「…わかったよ。めんどくせーし、それでいいか。




とりあえず、こうしてたってなんも始まんねーし、なんか不幸を探してくるよ。」




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俺は、花壇のふちから立ち上がると、人だかりのある方へ走り出した。





「あ、ちょっと待ってくださいよー。っとに、せっかちなんですから。


言うの忘れましたが、
あなたには、人間と同じ感情のうちのいくつかは、ありませんからねー!

人間を分かろうなんて、思ったらいけませんよー!


…ふぅ…大丈夫ですかねぇ…。」




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キイロンが、後ろからギャーギャー言ってるみたいだけど、なんだかよく聞こえない。



とりあえず、手をあげ、わかったと返事をして、あの人だかりを目指した。




















たぶん続く~



………………












こんにちは。





あー、やっとこれだせた!

人間界に落とされた死神のお話、書きたかったのー!




あのキャラとはまた違う、オリジナルの死神キャラをずっと考えててね、

頭の中に浮かんだお話、ちょっと書いてみます^_^






えっと、こちらでは黄色いワンコならぬ、インコちゃんもよろしくです^_^

このインコちゃんに、声をあててもらうなら、絶対コロセンセーにお願いしたいって感じで書いてます^_^




ファンタジーなんで、ゆるーく読んでねー





なにかありましたら、遠慮なく言葉を置いていってくださいね。


いつもありがとう。
感謝しています。






tomoe





























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