二つ前に、アメンバー承認についての大事なお知らせがあります。
7月15日の14時から21時に申請希望のメッセージを送ってくださった方は、ご一読くださいませ(^∇^)
昨日、アメンバ確認が終わり、DVDを見ながら気持ちを高め…
「君ヲ想フ」の続きを書きました。
こちらのお話も、よろしければ読んでみてくださいませ( ´艸`)
妄想小説@「君ヲ想フ」①(大野智と相葉雅紀)はコチラ↓
http://ameblo.jp/see-la/entry-11535646713.html
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その場所に降り立つと、胸の奥がざわつくのを感じた。
初めて来た場所なのに、なぜか懐かしい。
風が吹いている。
俺を取り巻くように。
…こっちか…
目の前で口を開けている深い森。
昼間でも薄暗い。
でも、不思議と不安はない。
人の気配はなく、ただ寂寞たる世界が広がるのみ。
風が吹いている。
人が入ることを拒絶するかのように、草が鬱蒼と生い茂る。
俺は森に入った。
風が草を分け、俺は導かれるように歩を進めていった。
…サトシ…
風が運んできた聞き覚えのある声。
立ち止まり、辺りを見回す。
人の気配はない。
気のせいか…いや、確かに聞こえた…
深い森。
細い筋となって降りてくる光。
ひんやりとした空気。
頬を撫でるように吹く風。
俺は目を閉じた。
やっぱり聞こえる…俺を呼んでいる。
…サトシ…
この声…どこかで…
深い記憶がぼんやりと形になって表れてくる。
風が俺を導いていく。
木々の切れ間、少し開けた場所にたどり着いた。
急に鼓動が速くなる。
胸が…痛くて…苦しい…
開けた場所の中心にある、俺の背よりも少しだけ低い石。
俺は胸を抑えて、そこにもたれかかった。
その瞬間、大きく風景が歪む。
うわっ…なんだ、これは…
暗い。
息が苦しい。
はあはあはあ…
…ここは、どこだ…
目が霞んでくる。
意識が遠のいていく…
『…薄れゆく意識の中で想うのは、君のことだけ
その時が来るまで、ただ君を想う
…タイセツナ オレノ … 』
ハッとして目を開けた。
頭に鈍い痛み。
額を押さえつつ、周りを見れば、揺らいだ景色が元に戻っていた。
なんだったんだ、一体。
尋常じゃない汗が噴き出してくる。
俺は石を背にして座り込む。
荒い呼吸のまま、額の汗を拭った。
ふと前を見る。
川…
木々の隙間から、太陽の光に反射して輝く水面が見える。
向こうから、誰か歩いてくる。
光を背にしていて、顔はわからない。
俺は目を細めて、こちらに向かってくる人影を見つめた。
風が吹き抜ける。
周りの木々を揺らし、葉が舞い上がる。
ザザッ
「マサキ…なんでここに?」
俺の前にゆっくり近づいてくる。
正面で立ち止まると、膝をついて屈みこむ。
マサキの長い腕が、俺をふわっと包み込んだ。
そのあたたかさに触れた瞬間、さっきの記憶が呼び戻される。
『 …薄れゆく意識の中で想うのは、君のことだけ
その時が来るまで、ただ君を想う
…タイセツナ オレノ … 』
…タイセツナ…オレノ…?
…タイセツナ
…オレ…ノ…
ああ、思い出した…
オレノ…オレノ…
…マサキ…!!
「ああ、お前…マサキ…なのか?」
身体が震える。
鮮明に浮かび上がる、あの日の出来事。
身体を清め、この場所に降りたち、そして…
目の前にいるのが、俺が命をかけてでも守りたかったマサキ…なのか?
風が渦を巻く。
俺たちの周りを取り囲むように。
「あの日、俺はサトシの指定した時間にここに来たんだ。」
マサキは、俺を抱きしめたまま続けた。
「でも、すでに儀式は終わっていて…しばらくは君を失った喪失感に気が狂いそうだった…
そして俺は、君の…サトシの身体を掘り出そうとしたんだ。」
「俺の身体を…?」
「うん…こんなところに一人にしておけなかった。
…でも、いくら掘っても君はいなくて…
「いない?」
マサキは小さく頷いた。
「俺は何度も君の名前を呼んだんだ。サトシに会わせてくれって、叫び続けた。」
俺のことを、ギュッと抱きしめ直して、ゆっくりと続ける。
「そしたら、聞こえたんだ…サトシに会わせてやると。
サトシの献身的な愛が、もっとずっと先の未来で俺たちが出会える運命に導いておいたと。
だけど、俺は嫌だと言ったんだ。
今すぐ会いたいって…そう訴えた。
ならば…今のサトシが生きる場所に、お前を行かせてやるって…
だけど、俺の声は置いていけと言うんだ…
本当はまだ、出会う時期ではない。
だから、サトシにはこのことを気づかせてはいけないって。
もし禁を破り、声を発して、サトシに気づかれるようなことがあったら、もう二度とサトシと同じ時間を過ごすことはないって
…それでもいいなら、会わせてやるって…
俺は、それでもいいから…会いたかった。
会いたくて会いたくて…すぐに声を置いていくと約束した。
そして、気が付いたら、君の傍にいた。
君にこうして、もう一度会えた…。」
そんなことが…
俺は信じられないというように、小さく首を振った。
「ここに呼んだのも、俺。
風に想いをのせて飛ばしていたんだ。
覚えていないか?
俺はサトシといたあのころも、風使いだっただろう…?」
そう言えば、マサキは風を呼ぶことができた。
それを知っていたのは俺だけで…
誰かに知られたら大変なことになるって、だから、誰にも言わなかったんだ。
あのころは、こんなチカラなんて何の役にも立たないと言っていたのに…
「最後にここで会いたかった。
サトシにありがとうって言いたかったから。」
マサキは俺からゆっくりと手を離す。
「…最後って?」
俺が問えば、マサキの瞳は悲しげに揺れた。
「俺、約束を破って、声を発してしまったから…
どうしても俺を思い出してほしくなって、想いが溢れて…置いてきたはずの声が…気づいたら自然とこぼれてた…。」
マサキは自嘲するような笑みを浮かべた。
「でもいいんだ、こうしてもう一度会うことができた。
もう、これで十分だよ。」
「ありがとう、サトシ。
会えて嬉しかった…そして、ずっと言いたかった…君が大好きだよって…。」
そうして、俺の唇にそっと唇を重ねる。
涙の味がした。
風が強く渦を巻く。
マサキは唇を離して、笑顔で言った。
「もう戻る時間だ…サトシ、さようなら…幸せになってね。」
風は、マサキだけをからめ捕り、大きなうねりと共に消えていった。
おい…うそだろ…
おい…マサキ…待てよ…
俺、お前に、まだ何にも言ってないよ…
待ってよ、行くなよ…
「マサキーーーーーーーーー!!」
大声で、マサキの名を呼んだ。
もう、風も声も…何も感じない…
目の前の景色が揺らぎだす。
嫌だ、忘れたくない、嫌だ、嫌だ、嫌だーーーー!!
マサキーーーー!!
意識がまた遠のいていく…
ああ…薄れゆく意識の中で想うのは、君のことだけ
ただ君を想う
…タイセツナ オレノ …
マサキ…