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Channel: Blue Moon
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小説@「14歳 胸がチリチリした瞬間」瞬間シリーズ②

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14歳











「金井の好きな奴って誰?」














叶哉に呼び出された屋上に続く階段は、人通りのない場所だった。




「昼休み、屋上んとこに、ちょっといい?」



叶哉の視線を合わさないで話す感じに、なんだかドキドキする。



あんなとこに私を呼び出すって、いったいどういうこと…。


いや、どういうっていうか、あれだよね、告白…かな。






えー、告白とか、やばい!


叶哉が彼氏とか…あー、もう、緊張する。





とりあえず、どうしよう、みんなにバレないようにしばらく黙ってたほうがいいよね?



トイレで前髪を直し、友達には職員室に呼ばれたって言って、誰にも見つからないように遠回りして、屋上まで続く階段についた。









一段ごとにドキドキが増して、何度も引き返そうと思いながらもあと少し。


階段を登りきった先に、叶哉がいた。



「ごめん、すぐだから。ちょっときて。」



手招きされて、踊り場の奥、少し窪んだ場所に行く。





「あのさ…。」





叶哉が、手で口元を覆って目を伏せた。



…沈黙。





こう見ると、叶哉って意外と綺麗な顔してる。

背は、まだ私と同じぐらいだけど…。




「金井の好きな奴って誰?」





…!




ドキドキしながら叶哉の前に立ったのに、思ってもいなかった言葉。






「金井?」




「お前の親友だろ?知らねーの?好きな奴。」





「あ、ああ、けいちゃん?」




「そう。誰?金井の好きな奴。」



「なんで、叶哉に教えなきゃなんないの?」







叶哉の顔がみるみる赤くなる。

こいつ、照れてる。なんで?






「お前、誰にも言うなよ。」





嫌な予感…。




「俺さ、金井が好きなんだよ。今度の林間学校の班、金井と同じになったじゃん、あ、お前もだけど。…告ろうかと思ってさ。でも、好きな奴とかいたら悪いし。」




…‼︎



…ていうか、叶哉のくせに、何もじもじしてるわけ?


真っ赤になっちゃってかっこ悪い!





「お前、知ってんだろ?昨日、金井とそんな話してたじゃん、誰が好きとかなんとか。」





確かにしたよ。

芸能人なら誰がタイプとか。





「ってか、聞いてたの?」




「お前の声がでかいから、聞こえたんだよ。…そんとき、金井が好きな奴いるって言ってた。」




けいちゃんに、叶哉が言うような好きな人はいない。


好きなのは漫画の…。






「…まさか、俺じゃないよな?」




叶哉は、無駄に喜んでいる。

なんか、むかつく。




「違うよ、叶哉じゃない。」




「だよなー、誰だよ、俺が告って見込みあるかだけでも教えろよ。」





なんでそんな真剣な顔するの?


チビであほなくせに。





「知らない。つーか、ばかじゃねーの!キモッ!」




「って、なんだよ、お前最低だな。



{33BA8F2D-2FEB-4674-A871-E2A9C6269CC7:01}



こっちは真面目に話してんのに。お前なんかに好かれる男は、超最悪。
もういい、お前に聞いたのが間違ってた。」






叶哉は、チャイムとともに去っていった。



カンカンカンって遠ざかる上履きの音。


私は階段に座り、おでこを膝に押し当てた。






…私、バカみたい…。



叶哉とけいちゃん…付き合うのかな…。



林間学校行きたくない…。




なんだよ、叶哉のくせに…。























好きな人が自分の親友を好きだと知って、初めてヤキモチを妬いた14歳。










…………







このお話はこんな感じで、瞬間を追っていくお話で、直接は続きません。















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