17歳
「二股?」
けいちゃんの先輩彼氏には、本命がいたことが発覚。
初めて男に騙された。
「そんなやつ別れなよ!」
それに対して、けいちゃんの反応は鈍かった。
「ちょ、まさか、別れないって言うんじゃないよね?そんなのダメだよ、けいちゃん!」
けいちゃんは、学校が離れて寂しかったのに、部活ばっかりで連絡をマメにしてくれない叶哉に不満を持っていた。
ずっと私がその愚痴を聞いていたんだけれど、あるときぱったりそれをいわなくなる。
後に彼氏になる男の出現。
「俺は景子を寂しがらせることはしないから。」って言われて、けいちゃんはコロッと落ちた。
嬉しかったんだって。
そりゃわかるけど…わかるけどさ…。
でも実際デートしてんのだって数える程じゃん。
最初のデートでキスしてきて、あっという間に最後まで行っちゃうやつなんて。
…叶哉は一年たってもキスさえしなかったじゃない。それだけ けいちゃんを大切にしてたんじゃないの?
けいちゃんがいいなら口出ししないって思ってたけどさ、どう考えてもそんな恋は幸せな恋じゃない!
目を覚ましてよ、けいちゃん!
「私、2番目でもいいの。叶哉と違って、毎日メールが来て嬉しかったし、会ってる時は、ずっと好きだって言ってくれるし…。このままいたら、私の方を好きになってくれるかも知れないし…。」
なんで?どうして?
2番目でいいわけないじゃん!
「メールなんか本気で言ってるかわかんないよ?叶哉がメール苦手だって知ってるでしょ?メールするなら会ったほうがいいって言われたって、私に言ってたじゃん。」
「…でも結局メールも来ないし、会ってもくれなかったし…。」
「そんなの、理由があるからに決まってんじゃん。けいちゃんが寂しかったように、きっと叶哉だって寂しかったはずだよ!」
あ、やばっ…思いのほか力が入ってしまった。
けいちゃんが呆気にとられている。
「なっちゃんて、叶哉のこと詳しいね。」
「私、2番目でもいいの。叶哉と違って、毎日メールが来て嬉しかったし、会ってる時は、ずっと好きだって言ってくれるし…。このままいたら、私の方を好きになってくれるかも知れないし…。」
なんで?どうして?
2番目でいいわけないじゃん!
「メールなんか本気で言ってるかわかんないよ?叶哉がメール苦手だって知ってるでしょ?メールするなら会ったほうがいいって言われたって、私に言ってたじゃん。」
「…でも結局メールも来ないし、会ってもくれなかったし…。」
「そんなの、理由があるからに決まってんじゃん。けいちゃんが寂しかったように、きっと叶哉だって寂しかったはずだよ!」
あ、やばっ…思いのほか力が入ってしまった。
けいちゃんが呆気にとられている。
「なっちゃんて、叶哉のこと詳しいね。」
「は?詳しくなんかないし!とにかく、口だけの優しさなんかより、けいちゃんを心から大切にしてくれる人が他にいるはずだよ!」
叶哉みたいに!!!
叶哉と私は、あの日以来ぶっつりだけど、叶哉の友達 雄大(ゆうだい)と私は、バイト仲間。
それとなく叶哉のことを聞けば、未だに元カノのことが忘れられなくて、ずっとフリーだっていう。
やっぱり叶哉は叶哉だ。
まっすぐけいちゃんを好きな叶哉が、私は好きなんだ。
あの日の叶哉の叫びが忘れられない。
きっと、今でもけいちゃんを呼んでいるはず。
それなら今しかない!
あんな悲しい顔も、悲痛な叫びも、もう二度と聞きたくないから。
私は、同窓会の幹事になった。
けいちゃんと叶哉をもう一度会わせるために。
「雄大、頼みがあるんだけど。」
「…なに?」
「雄大の友達の青木叶哉をね、連れてきてほしいんだわ。同窓会の会場に。あいつ、欠席ハガキ出してきたからさ。」
「…いいけど。真田が叶哉に会いたいわけ?」
「ち、違うよ、私は幹事だし、叶哉には来てもらわなきゃ困る理由があるの!」
「ふーん…ま、いっか。連れてってやるよ。そしたら、俺と付き合ってよ。」
「いいよー。どこ行きたいのー?どこでも付き合うよー。あ、前に横浜行きたいって言ってたよね?でっかいショッピングモールあるし、なんでも買えるよー!
あ、店長が呼んでるから、行ってくるねー!」
「…付き合うって、買い物に付き合うって意味じゃねーんだけどな…。」
「…付き合うって、買い物に付き合うって意味じゃねーんだけどな…。」
よしっ、これで完璧。
あとは、2人が揃うのみ。
受付で待っていると、けいちゃんが来た。
座席のくじを引いてもらって、出た数字は23。
しばらくすると、雄大に連れられた叶哉も到着。
グダグダうるさい叶哉の代わりに雄大がくじを引いて、番号は24。
はい、不正行為完了。
幹事だから成せる技。
雄大に叶哉を席まで運んでもらうと、明らかに空気が変わった。
ちっちゃくお辞儀をして、となりにちょこんと座る叶哉。
さっきまでのグダグダオーラが消えている。
…がんばれ、叶哉。
「…おい、これでいいか?」
雄大が戻ってきた。
「うん、ありがと。」
「てか、あれ、叶哉の元カノか?すっげーかわいいな。かわいいっていうか、なんつーか…でかいな、胸。」
私は、黙って雄大を殴った。
そうだよ、けいちゃんって顔はかわいいのに、身体はなんというか、女でも憧れる感じ。
中3からあっという間に差が付いた胸。
「叶哉って、あんな感じが好きだったなんて意外。」
「えっ、意外なの?」
「…てか、あれは、男ならみんな好きかもな。」
私は、黙って雄大を殴った。
「いってーな。てか幹事、いつ解放されんの?」
「10時ぐらいかな。」
「じゃ、連絡してよ。」
「えっ、なんで?」
「だって、叶哉もいるんだろ?」
「いるけど?」
雄大に同窓会が終わったら連絡することを約束して、私は会場に入った。
席を離れて、壁際にいる叶哉に声をかける。
「叶哉…これからマッチングゲームをするんだけどさ、もし、けいちゃんと合ったらさ、その時はもう一回好きって言ってみなよ。
…てか、言え!言わなかったら、私がみんなの前で、あの日学校でグズってたことばらしてやる!」
「はあ?ふざけんな!」
「いいから言えよ、泣き虫!」
「うるせー、尻軽!」
そして、幹事の権力により、けいちゃんと叶哉のカードをマッチング。
2人のカードはピッタリ合って、カップルになったので別室へ。
「はあ?ふざけんな!」
「いいから言えよ、泣き虫!」
「うるせー、尻軽!」
そして、幹事の権力により、けいちゃんと叶哉のカードをマッチング。
2人のカードはピッタリ合って、カップルになったので別室へ。
予定通り。
と思いきや、叶哉が私の腕を掴んで会場から引き摺りだした。
「お前も来い。約束通りちゃんと言ってやるから、しっかり見てろ!」
私は、叶哉とけいちゃんの後について、別室へ向かった。
叶哉の手、震えてる。
叶哉の額、汗ビッショリだ。
私も手が震える。
怖いほど汗ビッショリになった。
頑張れ、叶哉。
頑張れ頑張れ!
頑張れ、叶哉。
頑張れ頑張れ!
叶哉はその日、私の前で、けいちゃんにもう一度告白した。
好きな人の幸せを応援したくなった17歳。