こんばんは。
ほんとにすいません。
もう平謝りですo(_ _*)o
びっくりするぐらいのコメントが…しかも、今回は、同じ内容のコメントが2回とか3回とか、多い人は5回とか来たりしたんです。
先輩を止めようと、焦って送信ボタンを連打してくれたんでしょうね…(iДi)
もしそうだとしたら、
それだけ皆様が、このお話に入り込んでくださっていると思うと、涙が出てきます。
いつも読んでくださりありがとう。
感謝の気持ちでいっぱいです。
ということで、辛かったら飛ばしてくださいね。
それでは、参ります。
深呼吸してからご覧くださいませ。
妄想小説@「愛念」①はコチラ
http://ameblo.jp/see-la/entry-11557388231.html
初めていらした方は、第一話から読んでみてくれると嬉しいです(´∀`)
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「いいよ…抱いても…
樹枝状の雷光が窓の外に見えたかと思うと、大きな音とともに、部屋の明かりが消えた。
部屋に響く雨の音。
閃光と雷鳴。
彼女は、俺の耳の後ろに唇を寄せる。
「…昔みたいに、して…
首に巻かれた手が解かれる。
「智…
名前を呼ばれて振り向くと、彼女は濡れたシャツを脱ぎ捨てた。
「智の服も濡れてるでしょ?風邪ひくから…脱いで…
そう言って、俺の服に手を伸ばす。
彼女はネクタイを引き抜いて、ワイシャツのボタンに手をかけた。
一つ…そして、二つ目のボタンに指がかかる。
これだけ、青の糸で止めてあるボタン。
彼女がそれに触れて、ハッとする。
…俺…こんなとことで何やってんだ…
外しにくそうに動く彼女の指。
…そうだよ、このボタンは、簡単には外れないんだ…
「先輩、ボタンが取れかかっていましたから、頑丈につけておきましたよ。
そう簡単には外れないようにしておきましたから。」
ナナが、俺のワイシャツを持ってにこにこ歩み寄ってくる。
「はい」と見せられて、ちょっとびっくりする。
「…おい、なんでこれ、青い糸なんだ?」
「ふふふ、空が好きだからですよ。」
ナナは、いたずらな笑みを浮かべる。
「だからって、糸まで青くすることないだろ?」
「あー、先輩!人にしてもらったくせに、文句言わないでください。
そんなこと言うなら、もう直してあげませんからね!」
ほっぺを膨らませて、怒った真似をする。
あまりの可愛さに、俺の完敗。
「…ごめん…ありがとな、ナナ。」
ナナは、目を閉じて唇を突き出した。
そして、交わしたキス。
たった数日前のこと。
ああ…俺は…なんて…
ナナ…
ナナ…
ナナとのたくさんの思い出が、俺の心を駆け巡っていく。
「外、寒いですね…。
ええっ!…だっ、大丈夫ですからっ!…あ…ありがとうございます…。
はい…じゃ、使わせていただきます…先輩のマフラー…ふふふ、あったかいです。」
「ああっ!やっぱり先輩はすごいです!
そっかー、こうやって塗ればいいんですねっ!さすが先輩!」
「…先輩、今日も特訓ありがとうございました。
ずっと、こうして教えてもらうことができたらいいのに…なんちゃって、冗談ですよ、先輩!」
「ふふふ…先輩、子供みたい。うちの弟もそうやって食べてたから。」
「私は…先輩となら…怖くないよ…
「先輩…大好き!」
「泣いてるのは…幸せだからです…
ナナ…
俺…俺…
俺は、ボタンの上にある彼女の手を、そっと退ける。
彼女の身体にバスタオルをかけ、両肩をポンポンと叩いた。
「ごめん…俺、お前のことは抱けない。」
「どうして?智…私…今でも…あなたが…
彼女の言葉を遮るように、はっきりとした口調で言った。
「お前には感謝してる。ありがとう。
…俺には大切な人がいるんだ。」
「分かってる…それでも…いいから…
「…それはできない…もう、あいつを悲しませるようなことはしたくない。」
迷いはなかった。
彼女の前で深く頭を下げた。
「…そんな風にされたら…引き留めることなんか、できないじゃない…
俺は顔を上げた。
彼女は後ろを向いていた。
「早く行って…
「ごめん…
そうして、彼女の部屋を飛び出した。

どしゃ降りの中を、ただひたすら走った。
もう、ナナのことだけしか考えられなかった。
ずっと自信がなかった。
ナナは気付いていなかったけれど、あいつに想いを寄せる男はたくさんいた。
俺よりできるあいつまで、ナナを紹介しろって言われた時には、心臓が爆発しそうだった。
ナナが男と話しているのを見れば、いつか他のヤツに取られるんじゃないかって、いつも不安だった。
ナナに好きなやつがいるのかと聞いた時、いるって言ったよな。
どんな人って聞いたら、「なんでもできて、優しくて、笑顔のステキな人」って答えたナナ。
それ、俺じゃないってずっと思っていたんだ。
いっそ自分が告白してしまおうと思ったこともある。
だけど、関係が壊れてしまうことが怖くて、できなかった。
先輩後輩として、自然とそばにいて、ナナの笑顔を見ていられれば、それでよかった。
なのに…いつしかナナで心がいっぱいになっていく。
時々心が暴走して、「好きだ」と言いかけたことが何度もあった。
その度に、心を押さえて、ナナの傍にいることを選んだ。
それが…こんなことになってしまった。
ナナがそばに現れても、俺のことを好きだと言っても、それでも不安だった。
いつか誰かに取られてしまうんじゃないか。
いつか俺よりほかの誰かを好きになるんじゃないか。
そんな想いに支配されていく。
見えない相手に嫉妬して、それでも独占したくてたまらなくて。
上手くそれを伝えられずに、ナナを傷つけてしまった。
もう、こんなのは嫌だ。
ナナと向き合いたい。
ナナに想いをすべてぶつけたい。
ずっと好きだったこと。
ずっと不安だったこと。
ずっと大切だと思っていたこと。
ずっと、ずっと…離れたくないって、そう思っていることを。
何度も足を滑らせて、転がりながらも走り続けた。
あと少しで、俺の家。
もう少し、あと少しだ。
急げ、早く。
走れ、走れ、走れ。
マンションにたどり着く。
階段を一段抜かしで駆け抜ける。
ガチャガチャと乱暴に鍵を開けて、ドアを勢いよく開けた。
「ナナ!!!」
あ…
ウソだろ?なんで…?
…真っ暗だった。
一瞬、足がすくむ。部屋に漂うカレーの匂い。
くつを脱ぐのも煩わしげに、リビングに向かう。
電気をつけて部屋を見渡しても、ナナの姿はなかった。
テーブルを見れば、きちんと並んだ皿と置手紙。
「先輩と過ごしたこの数日、私にとって一番の幸せでした。
突然やってきた私を、優しく受け入れてくれたのに、先輩を悲しませてしまったことを後悔しています。
本当に本当にごめんなさい。
私は、先輩の笑顔が大好きです。
どうか、いつも笑っていてください。
昔から私にとって先輩は、ずっと変わらず、なんでもできて、優しくて、笑顔の素敵な人だから。
お世話になりました。
彼女と幸せになってくださいね。」
なんだこれ…?
後悔…?
お世話になりました?
それに、彼女ってなんなんだよ!
キッチンにはカレー鍋
蓋を開ければ、いっぱいのカレー。
どういうことだよ…
どこを探しても、ナナの姿は見当たらない。
ナナは…ここを出ていった…?
嫌だ…
嫌だ嫌だ嫌だ!
ふざけんな!
まだ何にも話していない。
靴も履かずに、部屋を飛び出して、ナナの部屋のインターフォンを押した。
何度押しても出ない。
ドアを何度も叩いた。
「ナナ!ナナっ!!!」
呼んでも反応はない。
いない?
じゃあ、どこに?
俺は、そのまま走り出した。
ナナ!どこにいるんだよ!
あの日、ナナに会いたい一心で走り抜けたポプラ並木。
今日もまた、ナナに会いたくて走り抜ける。
雨は強さを増し、前はほとんど見えない。
閃光と雷鳴。
空は怒りを露わにする。
絶対…絶対に見つける…
今までだって、ナナを探せたんだ。
絶対見つけて、もう離さないって誓うんだ!
雨は容赦なく降り続く。
どこだ?
どこにいる?
足を止め、辺りを見回せば、一際明るい閃光が走る。
その光に映し出された、うずくまる人影。
瞬間、今までよりも数倍大きな雷鳴が響き渡った。
「ナナーーーーー!」
俺はその人影に向かって、夢中で叫んでいた。