仕事の休憩時間を使って、猛ダッシュで書きました!
書かずにはいられなかったこのビジュアル!!
(///∇//)きゅーーん
ということで、妄想小説@「智と勇」①参ります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
俺、大野智(さとし)。
得意な教科は国語と美術。
内向的で、本を読んだり絵を描いて過ごすことが多い。
神経質。
夏でも靴下をはく。
こっちは大野勇(ゆう)。
俺の双子の弟。
得意な教科は体育のみ。
社交的。
友達も多い。
女もとっかえひっかえ。
二人の名前を合わせると「智勇」となり、「智恵」と「勇気」の意味となる。
まあ、だいたい名前の通りに育った俺たち。
見た目はそっくり。
声も、背丈も体重も全てだ。
あえて区別するには、俺はメガネをかけていて、勇はかけていない…ところぐらいか。
高校を出た後、別々に暮らしていたが、今は一緒に暮らしている。
その方が、色々と都合がいいからだ。
俺は、家でネット関係の会社経営。
外に出ることはまずない。
出ても深夜のコンビニくらいだ。
動かないから、腹もすかない。
静かに家にいることが、一番性に合っている。
勇はモデルを経て、芸能界で活躍している。
スポーツ万能、頭脳明晰のイケメンアイドル!ってことになっている。
だけど…
勇は勉強がまるっきりできない。
数字を見ただけで、身体中にじんましんが出るくらいの勉強嫌い。
そんな勇が、デビューしてすぐ、クイズ番組に出ることになった。
勇はクイズなんかできないから、俺に助けを求めてきた。
勇が俺に頼みごとをするなんて、まずない。
だからとても驚いた。
内向的な俺がいじめられたときは、必ず勇が助けてくれた。
だから、やっと恩返しができると、勇の頼みを快く引き受ける。
俺は勇として番組に出場し、あっけなく優勝してしまう。
そこから、勇は「頭が良い」と世間に認識されてしまった。
寄って、自動的に俺も、芸能界に仲間入りしてしまう。
非常に合わない。
こんな世界、本当に苦手。
うるさいし、目立とうとするやつばかりで辟易してしまう。
早く家に帰って、読みかけのあの画集を手にしたい。
だいたいこんな簡単なクイズで、何時間かかってんだよ。
早く答えてくれよ…
俺は自分の番が来れば、「え~っと…」なんかやらずに、ちゃっちゃと答える。
カットがかかる。
「大野くん、もうちょっと悩んでくれる?」
なんだよそれ…
だから芸能界なんか嫌だ。
勇に迷惑がかかってはいけないし、しょうがないから悩んでいる振りをする。
「う~ん…1番かな…いや、2番です。」
「大野くん全問せいか~~い!!!」
ファンファーレが鳴って、紙吹雪が舞う。
慣れた光景だ。
もう、ちっとも嬉しくない。
そんなこんなで、今日も優勝して、ハムを一年分もらって帰ってきた。
「ただいま。」
「お帰り。今日も商品もらったの?」
「うん。ハム一年分だって。」
「こんなにどうやって食うんだよ。」
「俺が明日、母ちゃんとこに送っとくよ。」
「サンキュー智!」
勇が俺に抱きついてくる。
愛情表現の素直な勇。
そりゃ、モテるわけだ。
「ほら、今日の。」
俺は、いくつかの紙切れを勇に渡した。
「おっ、ありがと~!」
勇は嬉しそうにそれを見ていた。
紙切れには、今日の共演者(女性)からもらったメアドやらなんやら…
まあ、とにかく勇に好意を持っていますってこと。
勇は、その中の一枚を見てニヤニヤ。
早速携帯を取り出して、電話をかけている。
「じゃあ、水曜日の22時ね、オッケー!」
勇は俺に向けて万歳している。
どうやらうまくいったらしい。
はいはい良かったね。
俺は喜ぶ勇を尻目に、PCの前に座る。
今日の会社の様子を確認し、最新ニュースをチェックしつつ、メール処理。
膝の上には読みかけの画集。
ヘッドホンをつけて、自分の世界に入っていった。
水曜日。
収録を終えた勇が、真っ赤な顔して帰ってきた。
「おい、どうした?」
「なんか、身体が熱くて…熱…あるかも…。」
勇は俺の肩にもたれかかる。
額に手をのせれば、ものすごい熱。
「勇…大丈夫か?」
勇をそのままベッドに寝かせた。
リビングの引き出しを開けてクスリを出し、水と一緒に持っていく。
「ほら、飲んで。」
勇が起き上がって、薬を飲みながら俺に言った。
「頼みがある。」
直感的にどうせ悪いことだろうと、身構えた。
「なに?」
勇は時計を見る。
時間は9時を回っている。
「智、俺の代わりにデートに行ってきて。」
「ええっ?…そんなの無理だよ。」
やっぱりだ…。
勇の頼みは、俺の頭を悩ますものばかりだ。
「頼む。今日の彼女、どうしてもモノにしたいんだよ。すっぽかすなんてできないよ。」
「いや…俺、無理だよ。女の子と付き合ったこともないし、デートだってしたことなんかない。」
「大丈夫だよ。黙って酒のんでりゃ、女の方から勝手に話し出すよ。」
「嫌だよ。」
「頼むよ、この通り。」
勇が頭を下げている。
こうなると、俺は断れない。
「わかったよ。でも、すぐ帰ってくるから。」
俺は渋々引き受ける。
勇の顔が、ぱっと明るくなった。
「ありがとう、智!あ、でも、彼女を怒らせんなよ。それから、手、出すなよ。」
「出すわけねーだろ!」
全く、何言ってんだか…
はあ…
ため息が出るが、しょうがない。
俺は、勇の部屋を後にした。
いつものようにメガネをはずして、
靴下を脱いで
俺は勇になった。
気分が乗らない。
女の子とデートか…
参ったな…
そんなの、教科書に載ってなかったよ…
どうすりゃいいんだ?
俺は一抹の不安を抱えながら、彼女との待ち合わせ場所に向かった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
耕太まで、あと3日。
このお話は、もう少し続きます( ´艸`)