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私のブログでは「魔王 もう一つのSTORY 成瀬領としおりの恋」を追補するなどして再アップさせていただきます。
RANさんブログ「天使の弁護士 成瀬領」VS[天才鍵師 榎本径」はコチラ↓
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第2話
成瀬さんは、私を雨からかばうようにしてゆっくり歩く。
時折、優しい目で空を見上げながら。
「シャワー使ってくださいね。」
タオルを渡しながら成瀬さんにそう言うと、私は階下の店に降りた。
温かなコーヒーと簡単な食事を作り、部屋に戻る。
ドアを開ければ、月明かりの中、窓辺に立つ成瀬さんがいた。
鎧のようなスーツを脱ぎ、真っ白なシャツをラフに羽織っていた。
「成瀬さん…
私が声をかければ、ゆっくりと振り向き、ありがとうと微笑んでくれた。
無造作に額に落ちる、成瀬さんの濡れた髪。
いつもと違う雰囲気に、ドキンと胸が震えた。
「あ…あ、これ、食べてくださいね。」
「…ありがとう。」
少しだけ口角を上げて、切なげに微笑む成瀬さん。
視線がぶつかり、心が揺れる。
成瀬さんの肩にかかっていたタオルが、ふわっと私の頭を覆った。
私の髪は、雨で濡れたままだった。
「あ、ありがとうございます…。」
私は急いで髪を拭いた。
心臓が暴れ出し、ここにいるのが苦しくなる。
「あ、私…着替えてきます。」
着替えを持って、逃げるようにバスルームに向かった。
急いでシャワーを浴び、着替えた後、部屋の前で深呼吸してドアを開ける。
成瀬さんがこちらを向いて、小さくお辞儀した。
「しおりさん、おいしかったです。ありがとう。」
「あ、はい、よかったです。」
目が合うだけで、ぎゅっと心臓を掴まれるような感覚。
緊張で指先が震えてしまう。
私は、食器を片づけようと手を伸ばす。
同時に、成瀬さんも食器に手を伸ばした。
「あっ…
成瀬さんと手が触れ、思わず後ろに引いてしまう。
ガッチャーーーーーン……
床に落ちて割れた食器を、成瀬さんが屈んで拾おうとしている。
「す、すいませんっ!」
私も屈んで食器を拾おうとしたその時、成瀬さんに抱き寄せられた。
「危ないですから。」
「で、でも…。」
成瀬さんは片手で私を抱きながら、割れた破片を拾っていく。
息が止まりそうだった。
全部拾い終わっても、成瀬さんは私を抱きしめたままでいる。
「成瀬さん…?」
居たたまれなくなって、名前を呼んだ。
「このまま…もう少しだけ…いさせてください。」
感情を押し殺したような声に、胸が苦しくてたまらない。
私は成瀬さんの心に寄り添うように、身を委ねた。
成瀬さんの胸の中で時が流れていく。
緩やかな鼓動に耳を寄せる。
私は、目を閉じた。
成瀬さんの心の荷物、どうか私にも背負わせてください。
心が少しでも軽くなるようにと、祈った。
成瀬さんの大きな手は、私をぐるりと包んでくれている。
言葉もなく、お互いの鼓動だけが響いていた。
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第3話は13時にUPします。
ただいまリレー中!
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