私のブログでは「魔王 もう一つのSTORY 成瀬領としおりの恋」を追補するなどして再アップさせていただきます。
RANさんブログ「天使の弁護士 成瀬領」VS[天才鍵師 榎本径」はコチラ↓
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「どうして…こんな…。」
視線を合わせば、成瀬さんはうつむいて目を閉じた。
突然浴びせられた言葉。
心臓が大きな音を立て始める。
時折、目を瞑り、言葉を選びながら。
一目で、成瀬さんの想いが読み取れた。
ああ…
止められた。
こんな…
「許してください。」
どうしてもっと早く…
気付いてあげられなかったんだろう…
涙が後から後から溢れてくる。
「ごめんなさい…。」
愕然とした表情。
信じられないと言ったように首を振る。
「なぜ、しおりさんが謝るんです?
僕が…怖くないんですか?」
私は大きく首を振った。
「私…私…成瀬さん…私…。」
身体の震えが止まらない。
成瀬さんの気持ちを思えば思うほど、苦しくなる。
どれだけ辛かったんだろう。
どれだけ一人で戦っていたんだろう。
どれだけ、あなたは…
「成瀬さんは…あのときの…
あのときの…弟想いの、優しい友雄さんのままです!」
何も変わっていない。
私は、成瀬さんの目を見つめた。
ほら、あのときのままだ。
あのときの優しい瞳。
優しく温かな瞳。
あのときの友雄さんのまま。
「最後なんて言わないでください。」
私は成瀬さんに向かって、強い口調で言った。
「ずっと一緒にいます…いさせてください。」
成瀬さんは手で顔を覆って、膝から崩れ落ちた。
「ど…うして…。」
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「もう、しおりさんを巻き込みたくないんだ…。」
いつも冷静な成瀬さんが、感情的に叫ぶ。
「…これで最後にしてくれ!」
成瀬さんの肩が震えている。私は、成瀬さんの前に屈んで肩に手を乗せる。
「いいえ、最後になんてしません。私はずっと成瀬さんのそばにいます。」
成瀬さん、あなたの力になりたいって言ったでしょう?
もう、一人で苦しまないでください。
「最後になんか…しません。」
私は成瀬さんを抱きしめた。
「もう、ずっと一緒です。」
離れたくなかった。
離したくなかった。
どうか、一人で苦しまないで。
「成瀬さんの悲しみ、苦しみ、辛いこと全部、私に分けてください。」
成瀬さんが顔を上げて、私を見つめる。
私は微笑んで、小さく頷いた。
「どんな成瀬さんであっても、生きていてくれれば、それだけで幸せです。」
成瀬さんの手が、私の背中に回される。
そうして強く、抱きしめ返された。
息ができないほど、強く強く。
「しおりさん!」
「成瀬…さん。」
火のような口づけを交わしながら、私たちは重なるように床に倒れ込んだ。
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第5話以降は、明日のUPになります。
1話は全て書き直し、3話は新しく書き加え、2、4話はかなり手直ししました。
久しぶりの成瀬さん、気合が入ります。
とっても楽しく参加させていただいております。
それではまた明日(^O^)/
読んでくださりありがとうございました。
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