妄想小説@「愛念」①はコチラ
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初めていらした方は、第一話から読んでみてくれると嬉しいです(´∀`)
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俺の話を、頷きながら聞いてくれたナナ。
最後は、相変わらずの泣き虫で…
俺も一緒になって、泣いてしまった。
「俺、カレー温めてくるな?」
ナナの頭をポンポンと叩いてから、鼻をすすりつつ立ち上がる。
鍋のふたを開ければ、カレーのいい匂い。
「先輩、私がやりますから…
走り寄ってくるナナを制して、椅子に座らせる。
「このくらい俺だってできるから、ナナは座ってて。」
そうして、温めたカレーを皿に盛って、ナナの前と自分の場所に置いた。
手を合わせて、一緒にいただきますをして、一緒に食べた。
顔を上げれば、ナナが微笑んでいる。
なんか…すごく…胸がいっぱいだ…
どんな言葉にしたら、この気持ちをナナに伝えられるんだろう…
「ナナ…
「…はい。」
「…産まれてきてくれて…俺の前に現れてくれて…ありがとな…。」
「えっ…
「なんだよ…こっち見んなよ。」
「だって…
ナナは不思議そうな顔をして、俺を見ていた。
すっげー恥かしくなってきた…
「だから、こっち見んなって。」
「あ、はい…。」
ナナは、手のひらで目をこすっている。
「泣くなよ、バカだな。」
「はい…。」
「カレー…うまいな…
「はい…
「…また、作ってくれよ。」
「…はい…。」
ナナは何度も頷きながら、涙を拭っていた。
俺たちを隔てるものは、もう何もない。
想えば君に真っ直ぐ伝わる。
カレーを挟んで、向かい合う。
大好きなナナとの距離は、とても近くて、それでも もっと近づきたい。
ナナは、食べ終わった食器を重ねて、片付けようとする。
俺は、ナナの手を掴んで、想いを口にした。
「洗い物は、後にしないか?」
ナナが驚いた顔で、俺の方を見る。
「もっと、近くにきて。」
ナナの手を引いて、抱き寄せる。
カチャーー…ン
ナナの手にあったスプーンが、床に落ちた。
…ナナと何回キスしただろう…
ずっと、していたい。
そう、もっと、おいで。
俺のこと、もっともっと好きになって…
重ねて…
合わせて…
絡めて…
もっと、強く…
ずっと奥までおいで。
甘くて、熱くて…
痺れるようだ。
言葉にならない言葉しか出てこない。
心が、ナナを求めて溢れてる。
「もっと、きてよ。」
耳元で囁いて、抱きしめる。
欲しくてたまらない。
俺だけのナナにしたい。
ナナ…もう、どうしようもないほど君が好きなんだ…
キスをしたまま抱き上げて、寝室のベッドにおろした。
ナナの髪を撫でる。
「…ナナは…
顎に指をかけ、小さくキスをする。
「俺のだ…
もう一度小さくキスをして、そのまま首筋に唇を落としていく。
シャツの上から胸元を探る。
ナナが、大きく体を捩る。
「逃げんなよ。」
ナナの肩を押さえて、正面を向かせる。
「嫌か?」
ナナは首を振る。
「違う…寂しいの…
「…寂しい?どうして?」
「…始めたら、終わっちゃう…から…
「…えっ?」
「先輩に…ずっと…ずっと私を、抱いててほしいから…
ナナの答えに、心が跳ね上がる。
俺と…同じ気持ちだった。
「…終わんないよ、ずっと。」
俺はナナを抱きしめる。
ナナも俺の背中に手を回して、ギュッとしがみつく。
「このまま…ずっと、終わらないから。」
お互いの気持ちが、ぶつかってきつく結ばれていく。
ナナの心を、身体を、俺でいっぱいにしたかった。
ナナ…
もう俺…
お前と離れることなんて、考えられないよ…
ずっと昔から、こうして一対だったんじゃないか…
だから、一緒にいなければいけないんだよ。
な、そうだろ、ナナ?
「…っ…先輩…っ…
俺の腕を思いっきり掴んだナナの表情は、苦しげだ。
「…やめるか?」
ナナは首を横に振る。
「…やめないで…ください…
「…わかった。」
いいよ…
お前がもういいって言うまで、ずっと抱いててやるよ。
俺は、ナナをどのくらい抱いていたんだろう…
隣で眠るナナの頬にキスを一つ。
眠りたいけれど、もっとずっとナナの寝顔を見つめていたい…そんな夜だった。
朝、玄関でナナに言った。
「今度の週末、一緒に旅行に行こう。」
ナナは嬉しそうに頷いた。
そうして、行ってらっしゃいと、愛らしい笑顔を俺に向ける。
ナナの首の後ろに手をかけて、引き寄せキスをする。
「もう、早く行かないと…
「ああ…行ってくる。」
もう一度…
「ん…先輩ってば…
「はいはい…行ってきます。」
だってさ、離れたくないんだよ。
一秒だってそばにいたいんだ。
ドアを開け、空を見れば、深いブルー。
俺は会社に向かって、ポプラ並木を歩きはじめる。
「…先輩っ!」
突然後ろから抱きしめられる。
「ナナ、どうした?」
息を切らせながら、「途中まで、一緒に行っていいですか?」と俺を覗き込む。
こいつ…
どこまで俺を好きにされば気が済むんだ?
しょうがないなって笑いながら、俺が手を出すと、ナナがギュッと握ってくる。
「先輩、空、見て!」
一緒に見上げた空は、深いブルー。
「私の一番好きな空の色です。」
ナナ…
ほんの少しだけ、待ってろ。
ちゃんと仕事して、できるだけ早く帰ってくっから。
お前んとこに、帰ってくっからさ。
俺は、カバンをぐるっと一回転させて、会社の入り口をくぐり抜ける。
早く仕事がしたくてたまらなかった。
ほんと俺って単純だな…
自分で笑ってしまうほど、やる気に満ちた俺がいた。