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妄想小説@「智と勇」③(大野智)

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勇になんて言おう…

勇になんて謝ろう…


自分のしてしまったことに悔いて、心が苦しかった。



…ありがとう、智!あ、でも、彼女を怒らせんなよ。

それから、手、出すなよ…


…出すわけねーだろ!



勇との会話が、頭をめぐる。



ごめん。


勇…。






Blue Moon~大野智~ 嵐×妄想小説-image










「智…?」



その言葉に驚き、両手を顔から離して振り向いた。


「智?いるの?」



「ああ、いるよ。…具合どう?」


そう言って、俺は勇の額に手を乗せる。


…良かった。だいぶ下がっている。



「うん、だいぶいいよ。…智、遅いから心配した…。」


勇は俺に向かって、小さく微笑んだ。




Blue Moon~大野智~ 嵐×妄想小説-image



「俺…智に電話しながら玄関に行って…



「うん…帰ってきたら、勇が玄関で寝てた。」


「そっか…じゃ、智がここに運んでくれたんだね、ありがと。」


素直に感謝の言葉を伝える勇。

勇の笑顔は、俺の心にチクリと刺さる。


俺は…ありがとうなんて言われる奴じゃないよ。

勇との約束、守れなかったバカなやつなんだ。



目を合わせるのが辛くて、視線が泳ぐ。

耐えられなくなって下を向いた。


「葉月さん、きれいだったでしょ?」



ドキンと大きく心臓が揺れる。

キスしたって、抱き合ったって…言わなきゃ…ウソは、嫌だ…




「ん?どうした、智?…葉月さんとなんかあったの?」


勇が俺の目を覗き込んでくる。


「…もしかして、惚れた?」




「ち、違うよ…勇、あのね…



ちゃんと話そうと口を開くと同時に、勇が言った。


「俺、葉月さんのこと本気なんだ。」




Blue Moon~大野智~ 嵐×妄想小説-image







「…あ、うん。」



「好きなんだ。」


「うん…分かってる。」





言えなかった。

キスのことも、身体に触れたことも。



勇は本気なんだ。

勇を傷つけるようなことはしたくない。



「俺、風呂入ってくる。」


そう言って、勇の部屋から離れた。


頭に浮かぶ葉月さんの顔をかき消すように、何度も何度も髪を洗った。













その後しばらくは、勇の代わりをすることはなかった。


正直ホッとしていた。


なぜなら今、勇と葉月さんは、ドラマで共演している。

内容はべタなラブストーリー。


勇の代わりで出演したら、葉月さんとまた会わなければいけない。

しかも、ラブストーリーを演じるなんて、俺にできるわけがない。





そしてあれから…


勇と葉月さんは付き合っていた。

ドラマのカップルのまま、私生活でも恋人になっている状態。


あの日のこと。

勇から何か言われるかとハラハラしたが、そんな様子もなかった。












俺は今日、久しぶりに仕事で外へ。

勇はこれまた久しぶりのオフで、部屋でゴロゴロしていた。


「いってくるね。帰りは遅くなる。」


そう言う俺に、ソファーの上で応える勇。


「ほーい!気をつけて~!」






Blue Moon~大野智~ 嵐×妄想小説


仕事が思ったより早く終わり、腹を減らしてるであろう勇に、寿司を買って電車に飛び乗った。





ドアを開ければ、思ったより静か。


…勇、寝てんのか?


それなら起こしてはいけないと、静かに廊下を歩いていく。



その先の勇の部屋。

細くドアが開いていて、灯りが廊下に漏れている。



ネコ?



ネコの鳴き声かと思った。

そんなの…聞いたことがなかったから。


勇の部屋の前を通ったとき、猫の正体が分かった。





心臓が止まるぐらいの衝撃。



…葉月さんだった。




ドアの隙間から、絡み合う二人が見えた。




俺はそのまま後ずさり、家を出た。

















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