おはようございます。
ここから先は、ゆっくり更新になると思いますのでよろしくお願い致します。
コメント欄あけておきます。
一つ前のお話
妄想小説@「君ヲ想フ」⑨(大野智と相葉雅紀)はコチラ↓
http://ameblo.jp/see-la/entry-11745550526.html
妄想小説@「君ヲ想フ」①(大野智と相葉雅紀)はコチラ↓
http://ameblo.jp/see-la/entry-11535646713.html
限定のお話やアメンバーについてはこちらに記載しました。
↓
http://ameblo.jp/see-la/entry-11744750499.html
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
俺の前にゆっくり近づいてくる。
正面で立ち止まると、膝をついて屈みこむ。
マサキの長い腕が、俺をふわっと包み込んだ。
そのあたたかさに触れた瞬間、さっきの記憶が呼び戻される。
『 …薄れゆく意識の中で想うのは、君のことだけ
その時が来るまで、ただ君を想う
…タイセツナ オレノ … 』
…タイセツナ…オレノ…?
…タイセツナ
…オレ…ノ…
ああ、思い出した…
オレノ…オレノ…
…マサキ…!!
「ああ、お前…「マサキ」…なのか?」
身体が震える。
鮮明に浮かび上がる、あの日の出来事。
身体を清め、この場所に降りたち、そして…
目の前にいるのが、俺が命をかけてでも守りたかった「マサキ」…なのか?
風が渦を巻く。
俺たちの周りを取り囲むように。
「あの日、俺はサトシの指定した時間にここに来たんだ。」
マサキは、俺を抱きしめたまま続けた。
「でも、すでに儀式は終わっていて…しばらくは君を失った喪失感に気が狂いそうだった…。
そして俺は、君の…サトシの身体を掘り出そうとしたんだ。」
「俺の身体を…?」
「うん…こんなところに一人にしておけなかった。
…でも、いくら掘っても君はいなくて…
「いない?」
マサキは小さく頷いた。
「俺は何度も君の名前を呼んだんだ。サトシに会わせてくれって、叫び続けた。」
俺のことを、ギュッと抱きしめ直して、ゆっくりと続ける。
「そしたら、聞こえたんだ…サトシに会わせてやると。
サトシの献身的な愛が、もっとずっと先の未来で俺たちが出会える運命に導いておいたと。
だけど、俺は嫌だと言ったんだ。
今すぐ会いたいって…そう訴えた。
ならば…今のサトシが生きる場所に、お前を行かせてやるって…
だけど、俺の声は置いていけと言うんだ…。
本当はまだ、出会う時期ではない。
だから、サトシにはこのことを気づかせてはいけないって。
もし禁を破り、声を発して、サトシに気づかれるようなことがあったら、もう二度とサトシと同じ時間を過ごすことはないって。
…それでもいいなら、会わせてやるって…。
俺は、それでもいいから…君に会いたかった。
会いたくて会いたくて…すぐに声を置いていくと約束した。
そして、気が付いたら、君の傍にいた。
君にこうして、もう一度会えた…。」
そんなことが…
俺は信じられないというように、小さく首を振った。
「ここに呼んだのも、俺。
風に想いをのせて飛ばしていたんだ。
覚えていないか?
俺はサトシといたあのころも、風使いだっただろう…?」
マサキは風を呼ぶことができた。
それを知っていたのは俺だけで…
誰かに知られたら大変なことになるって、だから、誰にも言わなかったんだ。
あのころは、こんなチカラなんて何の役にも立たないと言っていたのに…
「最後にここで会いたかった。
サトシにありがとうって言いたかったから。」
マサキは俺からゆっくりと手を離す。
「…最後って?」
俺が問えば、マサキの瞳は悲しげに揺れた。
「俺は約束を破って、声を発してしまったから…。
どうしても俺を思い出してほしくて、想いが溢れて…置いてきたはずの声が…自然とこぼれてた…。」
マサキは自嘲するような笑みを浮かべた。
「でもいいんだ、こうしてもう一度会うことができた。
もう、これで十分だよ。」
「ありがとう、サトシ。
会えて嬉しかった…そして、ずっと言いたかった…君が大好きだよって…。」
そうして、俺の唇にそっと唇を重ねる。
涙の味がした。
風が強く渦を巻く。
マサキは唇を離して、笑顔で言った。
「もう戻る時間だ…サトシ、さようなら…幸せになってね。」
風は、マサキだけをからめ捕り、大きなうねりと共に消えていった。
おい…うそだろ…
おい…マサキ…待てよ…
俺、お前に、まだ何にも言ってないよ…
待ってよ、行くなよ…
「マサキーーーーーーーーー!!」
大声で、マサキの名を呼んだ。
もう、風も声も…何も感じない…
目の前の景色が揺らぎだす。
嫌だ、忘れたくない、嫌だ、嫌だ、嫌だーーーー!!
マサキーーーー!!
意識がまた遠のいていく…
ああ…薄れゆく意識の中で想うのは、君のことだけ
ただ君を想う
…タイセツナ オレノ …
マサキ…