忙しく働いている彼の元へ、プレゼントを届けに参りました。
プレゼントの中身は、「自由時間」。
好きな事を好きなだけ、いつまででもやってよいというもの。
ぐっすり眠っている彼の枕元に、「自由時間への招待状」を置いてきました。
「…んっ…んんんーーーーーーっ!」
ぐい―っと伸びをして、えいっと目を開ける。
ああっ…もう朝かよ~…
昨日も深夜まで仕事。
今日も朝から仕事。
いつ休めるんだよ~っ!
誰か、俺に自由をくれ~!
…って、まさか…
枕元を見ると、「自由への招待状」って書いてあるボタンが置いてある。
まじでか…
マネージャーがふざけて置いてったのか?
説明書がくっついてるので、開いてみる。
なになに…
「このボタンを押した瞬間から、あなたは自由です。好きな事を好きなだけ、ずーーーっとやってていいんです。今までお疲れ様、これからは自由を楽しんでくださいね。」
えっ?なんだコレ。
自由になれるボタン?
説明書の続きを読む。
「ただし、一人きりで楽しんでください。他の皆さんは自由ではありません。自由なのはあなただけですから。」
ああ、それは大丈夫。
俺、一人でも充分平気。
で、それから…
「一度だけ、付属のボードから、他の人の様子を見ることができます。」
ボート…って?
あ、これね。
ペンと一緒にボタンの横に置いてある、B5サイズのホワイトボード。
どう考えても、100均のホワイトボードにしか見えないが。
「自由時間を放棄するときは、ボタンを押してください。その時点で、このプレゼントの効果はなくなります。どれも一度だけです。よく考えて使用してください。」
へえ…。
ほんとだったらスゲ~!
俺、マジで、休みたい。
釣り行きたいし、絵も描きたい。
旅行だって行きてーし!!!
どうせ、マネージャーのおふざけだろ?
ま、いーや。
押してみよっと。
ポチッとな。
♪~~~~♪~~~~~
電話がかかってきた。
「はい…えっ、はい、はい、いいんですか?はい、分かりましたっ!」
…マジでか。
俺、自由になっちゃった!
事務所から、無期限の休暇の許可が下りた…
休んでる間も、金はもらえるし、戻りたいときに戻ってくればいいって…
ほんとかよ!
すぐさまマネージャーに電話する。
同じ答えだった。
よっしゃ~~!
とりあえず、釣りに行くぜ~~!
…ああ、もうサイコーだよ。
何日、船にいたかわかんねーよ。
嬉しすぎて、どうしよもねー…
そろそろ船を降りて、一回帰るかな。
一回休憩して、また来よう。
家に帰りつき、今度は絵が描きたくなった俺は、ひたすら描きはじめた。
やっぱ楽しいな~!
こうして書いてるときは、ほんとに無心になれる。
だんだんできてくのが、たまらなく嬉しいぜ~~!
数えきれないぐらいの作品ができた。
よし、もう一回釣りでも行くかな。
いや、いっそ旅行に行っちまえ!
そうして俺は、自分の好きな事を好きなだけ楽しんでいた。
ある時ふっと思い出す。
そう言えば今日は、母ちゃんの誕生日だったような…
あ、あれを使うか!
俺は、ホワイトボードを取り出して、「かあちゃん」と書いた。
すると、そこには、俺抜きで、母ちゃんの誕生日パーティーをしている様子が見えた。
父ちゃんも姉ちゃんも、カーギーもいる…。
いつもの俺の席にも、切ったケーキが置いてあった。
おい、あれじゃ、まるでお供えみたいじゃないかよ。
よく見てれば、俺はそこにいないのに、「智が…」「智は…」って聞こえてくる。
なんだよ、みんな…
俺は、ホワイトボードの文字を消して次に、「ファンの子」って書いた。
俺のいない、テレビや雑誌を見て、寂しそうにしている姿が映った。
早く会いたいって、泣いている子もいた…
俺を、待っててくれてるんだ…
次に俺は、「嵐」って書いた。
四人が映る。
いつもの席に座って、話している。
俺の席は空いている。
開いている場所に、俺の衣装が置いてある。
いないのに…
俺がいつ戻っても、振りを覚えられるようにと、4人で踊ってVTRに残してくれていた。
インタビューでは、みんな俺のことばかり話している。
なんだよ…
ホワイトボードの文字を消した。
そして俺は、スイッチを取り出すと、迷わずボタンを押した。
今はみんなと一緒にいたい。
そう思ったんだ。
自由は、もっと先になってからでいいや。
ただいま。
「…んっ…んんんーーーーーーっ!」
ぐい―っと伸びをして、えいっと目を開ける。
ああっ…もう朝かよ~…
なんだよ夢かよ~…
昨日も深夜まで仕事。
今日も朝から仕事。
いつ休めるんだよ~っ!
誰か、俺に自由をくれ~!
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って言う、夢を見た智くんの夢を、私が見ました(^▽^;)