前半は、なうちゃんのとこです。
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妄想小説@「僕の中のきみ~The first camp ~」後半(大野智と櫻井翔)
ちょっと長くなりましたが、よろしくお願い致します。
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「智くん、起きて、着いたよ。」
…ん…?

「さ、行くよ、準備して。」
翔ちゃんに促されて、車から降りると、青いリュックを渡された。
もうすでに、何か入ってるみたい。
「何入ってんの?」
開けてみようとする俺に、翔ちゃんは笑いながら注意する。
「いろいろ入ってるから、今は開けんな~。」
「それから~、はい、これ。」
そう言って、あのとき内村さんから頂いた杖を渡される。
「おー!これを使う時が来たぜ~!」
嬉しくなって、如意棒のごとく振り回す。
「ちょっと、智くん、危ないって~。」
まさか山登りだとは知らずに、短パンとTシャツで来ちゃった俺。
「富士山をなめんな~。」
翔ちゃんは笑いながらそう言って、山登り用の服をドサッと渡した。
「智くん、着替えてきてください。」
へいへい。
俺は、その場で洋服を脱ごうと手をかけた。
「あー、智くん、お着替えは車の中でお願いしまーす。」
もう、いちいちうるさいな~っ。
俺は翔ちゃんに小突かれながら、車の後部座席に乗り込んで着替えた。
やっと準備完了!
いざ富士山へ。
杖を突くたびシャリンと鈴が鳴る。
なんだか楽しくなって、無駄にシャンシャン鳴らしてみる。
そんな俺を見て、翔ちゃんはずっと笑っていた。
空気が濃いような気がして、何度も深呼吸。
「智くん、そんなに空気ばっかり吸うと、腹いっぱいになるよ。」
「んなわけね~よ。」
そんな、どうでもいい会話が楽しくて、ついついおしゃべりになってしまう。
行き交う人に挨拶しながら、登山道を進んでいく。
「智くん、楽しい?」
「うん、楽しいよ。」
「来てよかった?」
「うん、来てよかった。」
どちらともなしに肩を組んで、深い緑の中を歩いた。
傾斜が急になってきて、足元も大きな石が目立つようになった。
周りの景色も変わり、息は乱れ、口数も減ってくる。
やっぱり、富士山はスゲーな…
上を見上げても、頂上なんか見えやしない。
頂上は見えなくても、ただ一歩一歩前に進んでいくだけだ。
翔ちゃん、大丈夫かな…
最近は、毎日仕事漬けで、休む暇なんかなかっただろうに…
そうして振り向けば、やっぱり辛そうな表情。
なんでそんな大変な思いまでして、富士山なんかに俺を連れてきたんだよ…
「翔ちゃん、大丈夫?」
俺の言葉に、小さく微笑んで、「ああ。」と一言。
「休むか?」
「いや、いい。休んだら、上までいけなくなる。」
「うん、分かった。」
翔ちゃんの気持ちは痛いほどわかる。
俺たちの休みはあと3日。
一日でも予定が狂えば、仕事に穴をあけてしまう。
それでも…無理はしてほしくなかった。
「ねえ、翔ちゃん、今日はあそこまでにしようよ。」
俺は8合目の山小屋を指差した。
「いや…上まで…智くんと…上まで…行くんだ。」
ハアハアと息遣いも荒く、足取りも重い。
でも、一向に休もうとしない翔ちゃん。
俺は翔ちゃんの背負っていた荷物を、自分のリュックに移し替えた。
「智くん、何してんだよ?」
「いいから。さ、行こう。」
翔ちゃんの手を取って、岩場をよじ登る。
「スゲーな、富士山て。」
「そうだな…。」
二人で黙々と歩く。
色々な障害を、手を取り合って乗り越えながら進む。
仰ぎ見ても、まだ頂上は見えない。
でも、必ずそこにあるはずの頂点。
そこを目指してがむしゃらに歩んでいく。
それは、ここまで自分たちが「嵐」として歩いてきた道のりと、なんだか似てるような気がした。
「翔ちゃん…あのさ…
「ん…?」
「あのさ…よかったよ…俺、ジャニーズに入って。」
「急になに言ってんの…?」
「ん?だって、俺、ジャニーズにいなかったら、翔ちゃんみたいなやつとは…たぶん一生知りあってないよ。」
「おい、何言ってんだよ~。」
翔ちゃんは照れて、俺をバシバシ叩いた。
翔ちゃん、俺、ほんとにそう思ってるんだよ。
出会えてよかったって。
「俺、翔ちゃんのこと、好きだよ。」
「は~、やめてくれよ、智くんっ!」
なんだか、素直にね、きみに好きだと言いたくなった。
こんな状況だからかもしれないけれど…
知り合った日から、ずっとずっときみを見てきたから…。
「…俺だって、智くんに会えてよかったって…いつも思ってるよ…。」
「…ほんと?」
「ほんと。智くんみたいな人は、そうそういない。」
「そっか~?」
「ああ…俺も、智くんのこと大好きだよ。」
翔ちゃんの声があまりにも優しくて、ドキンとした。
「えっ、突然…なに言ってんだよ…。」
「えー、そっちが先に言ったんじゃないのかよ~~!」
何だか元気が湧いてきた。
頂上まであと少し。
一緒にゆっくり歩んで、上を目指していこう。
「翔ちゃん、あれじゃない?」
山頂入口と書かれた文字が見えてきた。
「あー、着いたね~…マジ疲れた~!」
「翔ちゃん、ほらもう少しっ!」
ゴーーーーーーーール!!
やっと着いた…
頂上だ…
マジでうれしー!!
翔ちゃんと一緒に抱き合って喜んだ。
写真もいっぱい撮った。
今日は山小屋で泊まって、明日朝日を見るんだな。
ほんとに楽しみだ。
こんなにワクワクするのは、いつ以来だろう。
翔ちゃん、ありがとう。
俺たちは泥のように眠った。
そして朝、山小屋にいたみんなと絶景スポットに移動する。
すっげー眠いんだけど、すっげー楽しみ。
もちろん、手にはカメラとスケッチブック。
翔ちゃんも楽しそうだ。
だって、顔見りゃわかる、ほら、目じりがくしゃってなってるもん。
朝日が昇る方向に目を向ける。
誰も話さない。
ただ、黙ってその時が来るのを待った。
ゆっくりと動く雲海。
ただ風の音だけが聞こえる。
空が次第に明るくなってくる。
放射状に延びる光の矢。
そして…ご来光…
ああ…なんて…
息をするのも忘れて、一心に見つめる。
ああ…なんか…俺、泣きそうだ。
そう思って横を見れば、翔ちゃんの目から一筋の涙。
そっか…おんなじなんだな…
そうして、俺たち二人、その場で静かに涙を拭った。
今見た感動を、すぐに絵にしたくて、スケッチブックを広げる。
ザッと描いて、翔ちゃんに見せた。
「智くんの絵、俺、大好きだわ。来てよかった…。」
ため息交じりにそう言ってくれる翔ちゃんに、胸がいっぱいになった。
「俺もだよ。翔ちゃん、ありがとう。」
ゆっくりしている時間は、俺らにはなかった。
すぐに下山を開始する。
名残惜しくて何度も振り返るが、時間は容赦なく過ぎていく。
「智くん、行くよ。」
そう何度も翔ちゃんに言われながら下山した。
5合目まで戻り、今日のキャンプ地まで車で移動。
「翔ちゃん、大丈夫?」
「ああ、平気だよ。ってか、今日何回俺に大丈夫って聞いてんの?」
ほんとは疲れているだろうに、そう笑顔で応えてくれる。
夜はキャンプだね、翔ちゃん。
ワクワクするね。
そう言えば、昔、5人で行ったよね。
合宿、楽しかったね。
また、行けたらいいね。
翔ちゃんを見れば、やっぱり俺と同じこと考えてるようだった。
だって、あのときレコーディングした歌を、鼻歌で歌ってんだもん。
「ここでいいよね?」
翔ちゃんが、テントを張る場所を決める。
そうして建てたテントは…思ったよりも小さかった。
「なんか、小さくない?」
俺がそう言うと、
「だって、店の人はこれで十分だって言ってたもん!」
そう半笑いになりながら、答える翔ちゃん。
「ちょっと入ってみるね。」
俺はテントの中に寝転んだ。
「翔ちゃんもきて!」
翔ちゃんを招き入れる。
ゴソゴソと二人でテントに収まった。
「せまっ!!」
「だろ~?」
お互いの腕がぴったりくっついている。
なんだか、やけに笑えてしまう。
翔ちゃんって、完璧なんだけれど、こういうちょっとしたところが抜けている。
そこがまた、何とも言えずかわいいところなんだけど。
「寝袋、どうする?」
寝袋か…これじゃ二つは無理だな…
結局、下に敷いて、布団みたいにして使う ということに決まった。
「智くん、釣りしておいでよ。」
そう言って、竿を渡された。
めっちゃテンションあがる!
「えーー!いいの?」
「いいよ、俺、なんか食いもん探してくるから。」
のんびり釣りまで楽しむことができて、マジで幸せだった。
翔ちゃんは、俺のことなんでもわかってるな…
ここまで俺のこと考えてくれるやつなんて、他にいないよ。
夜、簡単なご飯を一緒に作った。
どっちも料理は中途半端にしかできなくて、まあ、食えればいいやって感じの出来。
作ってる時間が楽しくて、ほんとにあっという間だったな。
そう言えば、二人だけでこんなに一緒にいることなんてあったかな…
翔ちゃんの横顔を眺めながら、ふと考えた。
こうしている時間が、何だかとても幸せだった。
「さ、明日は早いし、もう寝よっか?」
翔ちゃんに促されて、テントに入る。
やっぱり狭い…
「なんか…どうなのこれ?」
翔ちゃんの困った顔に、笑えてしまう。
ちょっとイタズラしちゃおうかな…
翔ちゃんの困った顔が大好きな俺は、もっと困らせたくなってしまうんだよね。
「ちょうどよくない?こうすれば狭くないよ。」
そう言って、俺は翔ちゃんの上に重なった。
「…えっ?さ、さとしくん?」
「だから、これなら狭くないでしょ?」
俺は、翔ちゃんの首に腕を回して抱きしめた。
「えっ?えっ?」
ふふふ…翔ちゃんが困ってる。
楽し~~っ!
もっと困らせたくて、俺は真面目な顔して翔ちゃんに言った。
「翔ちゃん…大好きだよ。」
それまで、困惑して泳いでいた翔ちゃんの目が止まり、俺の目を真っ直ぐに見つめ返した。
あ…待って、そんな目をしないで…
これはただのいたずらで…
そう言おうと口を開いたときに、翔ちゃんが言った。
「俺も好きだよ…
…えっ?
「ずっと前から…智くんのことが好きだった。」
ちょっ、っちょっと待って…
「俺の中には…いつもきみがいたんだ…きみの考えていること、きみがやりたいこと…叶えてあげたいっていつも思うよ。」
翔くんは、俺を抱き締め返した。
「智くん…。」
俺の心の奥がざわつき始める。
あ~…まずい…心の奥にしまいこんでいた感情が爆発しそうだ…
「お…俺…
翔ちゃんの腕に力がこもる。
「俺…俺…
翔ちゃんが、ふふふって笑った。
「俺俺…って、俺ばっかりだな。」
「う、うるさいなー!」
も…もう、翔ちゃんは、すぐ俺を茶化すんだから!
俺はこの状況から脱出しようと、翔ちゃんから身体を離そうとした。
「離れんなよ。」
離れようとした俺は、翔ちゃんの腕にぐっと抱き戻される。
「行くなよ。」
苦しいほど抱きしめられ、身動きが取れない。
「智くんから仕掛けたんだからな…もう止まんねーから覚悟して。」
翔ちゃんは体を反転させて、俺を組み敷いた。
あ…ちょ…まって…
翔ちゃんの身体の熱さが伝わってくる。
今度はゆっくりと、優しく抱きしめられた。
ああ…ダメだ…翔ちゃん…俺…そんな風にされたら…
「いいよね?智くん?」
こうして、狭いテントでの夜は過ぎていった。
翔ちゃんとの初めてのキャンプ。
…俺にとって、一生忘れられない日になった。
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はあ…終わった…
やっぱりなうちゃんはすごいから、私じゃ無理ですよ~~。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。
これで満足してもらえたか、甚だ疑問ではございますが、これにて、「僕の中のきみ」後編終了です。
読んでいただけた方、皆様に感謝いたします。
ありがとうございました。
tomoe