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妄想小説@「海まであと少し」(大野智)

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付き合ってると言っても、忙しくて、そう何度も会えない。


今日も仕事の合間に、時間を見つけて来てくれた。




時間は、深夜1時を回っている。

部屋でゆっくりしていくと思いきや、来て早々、海に行こうと言いだした。


いいよと返事をして、私の運転で海を目指した。



Blue Moon~大野智~ 嵐×妄想小説





「窓、開けていい?」


私が頷くと、やったと言って窓を全開にする。




「寒くないの?」


「うん、寒くない。気持ちいい。」


智は窓の外を向いていた。


風でなびく髪。

智の匂いが私の元に。




信号で止まると、智が言った。


「眠くない?わがまま言ってごめんね…。」


「ううん、大丈夫。」


私が笑って答えると、安心したような顔をする。




「夜じゃないと、海になんか行けないから…。」


ポツリとつぶやくその声を、私は聞き漏らさない。


分かってる。

だから今から一緒に行こう。






高速を降りて、一般道を走っていく。

海までは、あと少し。


私たちのほかに、走っている車は見当たらない。




「誰もいないから…手、繋いでもいい?」


「うん。」


私が左手を差し出すと、智はギュッと握る。




Blue Moon~大野智~ 嵐×妄想小説-image




「大丈夫?運転できる?」


「大丈夫だよ。」


智は私の指の間に、自分の指を入れる。

そのまま唇に寄せて、私の手の甲にキスをした。




「智、ドキドキするからやめて…。」



「うん、ごめん。」


謝ってるくせに、指が温かで柔らかな感触に包まれる。

智は、私の指を口に含んでいた。



「あ…ばか…やめて…


まるで、神経が左の指先に集まっていくようだ。




「ねえ?」


「なに?」




「次の信号で止まったら…キスしよう。」



智の言葉に、心臓がドキンと大きく跳ねた。



でもここは、海へ向かう一本道。

信号なんか見当たらない。


私は車を走らせ続けた。








「ねえ、赤だよ。」


智が言った。


「赤だよ、止まって。」



信号なんかない…だけど、私はそこに停車した。



「赤信号だね、止まったよ。」


笑いながらそう言って、智の方を向いた。



カチャッとシートベルトをはずす音。


智は、私の首をグッと引き寄せる。

息がかかるくらいに近付いて、ピタリと止まる。



「どうしたの?」



「いや…したら…海までいけなくなりそうで…


伏し目がちに優しく笑う。



「じゃあ…やめる?」



「…やめない…


首に回した手に力が込められ、押し出されるように口づけた。


1回2回とキスをして

3回目には、深くゆっくり重ね合う。


手は私の太ももに伸ばされて、スカートの裾をなぞっている。





私はその手をおさえて言った。


「海…行かないの?」



「行く…



「じゃあ、ダメだよ…智…



「うん…


智は、私の太ももから手を引き戻した。




「じゃ、出発するよ。」

私は前を向いてハンドルを握った。




「ねえ…


「ん?なあに?」



「ねえ、やっぱり…


「やっぱり?」



「ううん、なんでもない、行こう。」


そう言って智は前を向いた。







なかなか走り出さない車。


「あれ、行かないの?」



Blue Moon~大野智~ 嵐×妄想小説-image




智は不思議そうに、私の方を向いた。

それと同時に、私はシートベルトをはずして、身体ごと智に抱きついた。




「行けない…


「なんで?」



「だって…


私が言葉を濁らせる。




「…俺も…同じだよ…



Blue Moon~大野智~ 嵐×妄想小説-image






「あっ…



私を強く抱き寄せる。

息もできないくらいに。



狭い室内。

智の声が、身体の芯に響いていく。



「お前が欲しい…



その言葉が言い終わると同時に、強く激しく重なり合う唇。


私の太ももに伸びた手を、もう拒むことはできなかった。






海…また今度行こうね…智…













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