「…ちょっ…なに…?」
私は驚いて、サトシの胸から身体を離そうとする。
だけど、サトシの身体はびくともしない。
頭は混乱し、何が何だか分からない。
記憶の中にあるサトシは、背だって私と同じくらいだったし、身体は細くてもっと華奢だった。
なのに、今は胸の中にすっぽり収まるほど背が高い。
腕の力も強くて、華奢だったあのころの面影なんか一つも見当たらない。
「先生…。」
身体が軋むほど強く抱きしめるから、息をするのも苦しくなる。
「ど…した…の…?」
サトシは応えない。
「苦しい…よ、はな…して…。」
一瞬サトシの手が緩み、私は顔を上げることができた。
スーッと長く息を吸う。
私を見下ろすサトシと目が合った。
眉根を寄せて、私より苦しげな顔をしている。
「いったい…どうしたの…?」
私の問いには答えずに、近付く距離に息をのんだ瞬間、深く押し当てられた唇。
強く身体を引き寄せられ、頭を抱えるようにされては、どうにも逃げられない。
息苦しさと混乱した気持ちで、不意に涙が溢れだす。
何度も繰り返される、涙味の激しいキス。
止めてとサトシの胸を叩いて訴えた。
サトシは私の手首を掴んで、その動きを止める。
そのまま身体を反転させ、両手を玄関のドアに抑えつけた。
はりつけられた私は、もう完全に逃げられない。
なおも火のように降りてくるキス。
怒りにも似た強い感情が、湧き上がってくる。
「…や…やめ…
私は、サトシの舌を噛んだ。
「うっ…
サトシの手から解放され、私は自由になった。
私は、涙を拭いながらサトシに視線を向ける。
「な…んで、こ…ん…なこと、するの?私は、あなたの先生よ!」
サトシは目を伏せ下を向いた。
「答えなさいよ。こんな時間に突然来て…久しぶりに会えたと思ったら、なに?いい加減にしなさいよ!」
握るこぶしが、ワナワナと震え出す。
サトシはズズッと鼻をすすった。
それから、顔全体を手のひらで拭ったのち、ゆっくりと顔を上げる。
ゆらゆらと瞳を揺らせながら、私に視線を合わせた。
「先生…ごめん…俺…。」
その表情を見れば、一瞬で怒りなど吹き飛んだ。
儚げで今にも消えてしまいそうに見える。
「もう…いいから…。」
私は大きく息を吸った。
目をつぶり、先生である自分を呼び戻す。
「とりあえず上がって…。」
私は、サトシを放っておくことなんかできなかった。
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ここから先はあちらで書かせていただきますので、もしよろしければいらしてくださいね。
「今度は私から好きと言いたい」
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移動先では、サトシからコウタに名前が変わっています。
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ただし、あちらは小説を書く場所なので、画像はありません。
普通に小説を読みに来る方がたくさんいます。
なので、嵐さんに関してはこちらのブログでお願い致します。
移動先
「あなたを知りたい」蒼月ともえ
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tomoe