背中越しに握られた手も、抱きしめてくれる腕も、温かくって…
私なんかにはもったいないくらいの、優しい人。
守ってあげるって言ったのに、守られているのは私の方で…
迷惑ばかりかけて、ほんとにごめんなさい。
大好き…。
ありがとう…。
5本の指の、一本一本から、あなたの温みを感じる。
私は、あなたの手をキュッと握って、そっと唇に寄せた。
いっぱい、いっぱい愛してる。
しばらくすると、静かな寝息が聞こえてきた。
私は繋がれた手をそっと外して、あなたの方に身体を向ける。
仕事から帰ったままの服装と、セットされたままの髪。
お風呂にも入らないで、こんな風に寝てしまうなんて、あなたには珍しいことで…
きっと相当疲れてるに違いない。
なのに、余計な気を使わせてしまった自分が情けなくなる。
あなたの胸にそっと顔を寄せれば、仕事のあとの…男の香りがする。
無防備で、繕っていない、あなたの香り。
もっとそばによって、ずっと包まれていたくなる。
だけど、このまま寝たら、きっと明日の仕事は辛いよね…
せめて着替えだけでもと、あなたの胸をすり抜けて起き上がる。
薄暗いリビングを通り抜ければ、ふと目にとまる白い台本。
今日のあなたの演じたシーン…
恐々とページをめくり、数行目で追った。
ああ、ここか…と思ったシーンに小さく書きこまれた文字。
「無」
無…?
無に…なったってこと…?
『走ってきた男女が、角を曲がったところでぶつかって、男が女の上に覆いかぶさるように倒れ込む。
驚いた女から平手打ちを食らいそうになるが、男はその手首を掴んで、ぐっと引き寄せ立ち上がらせる。
引っ張った勢いで、今度は女が男の胸に飛び込んでしまう。
慌てて身体から離して、男が謝る』っていう…。
確かにラブシーンって言えばそうかもしれないけれど、あんなに謝るほどのシーンでもない。
私に気を使いながら、心を「無」にして演じたの…?。
胸がいっぱいで、涙が溢れてくる。
ああ…謝らなければいけないのは私の方だ。
ごめんね…。
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「今度は私から好きと言いたい」第3話をブログUPしてあります。
http://ameblo.jp/see-la/entry-11837861392.html
4話からはあちらで書かせていただきますので、もしよろしければいらしてくださいね。
「今度は私から好きと言いたい」
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移動先では、サトシからコウタに名前が変わっています。
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ただし、あちらは小説を書く場所なので、画像はありません。
普通に小説を読みに来る方がたくさんいます。
なので、嵐さんに関してはこちらのブログでお願い致します。
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「あなたを知りたい」蒼月ともえ
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tomoe