ふと目を覚ませば、あなたの姿が見えない。
時間は、5時00分。
起きるにはまだ早い。
ベッドから出て、廊下に出れば、リビングのドアが少しだけ開いていた。
白く伸びた光をたどり、静かにドアを開けると、ソファーに座って台本を読んでいるあなたをみつける。
私の気配に気づいたのか、あなたがこちらを振り向いて、「起こしちゃった?」と心配げな顔。
「ううん。」
私は、あなたの向かいに座って「しばらくここにいていい?」と聞いた。
「構わないけれど、俺、黙って読んでるだけだぞ?」
「うん、分かってる。邪魔はしないから。」
「邪魔なんて、思ったことないよ。」
あなたは目を細くして微笑むと、静かに台本に視線を落とした。
顔つきが、変わっていくのが分かる。
きっと、お話の世界に入っているのだ。
昨夜の言葉が、頭をよぎる。
「お前がさ…嫌だっていうんなら…俺…仕事なんか、辞めたっていいんだ…。」
あなたから、この仕事を奪ってはいけない。
直感的にそう思った。
「なあ…。」
あなたが台本から顔を上げ、私を見ている。
「あ…なに?」
「こっちにきて。」
「あ、うん…でも、隣だと…。」
「隣だと?」
隣だと、あなたを触りたくなってしまう…なんて言えるわけがない。
真剣な表情のあなたほど、魅力的なものはないのだから。
「隣だと、気になっちゃうでしょ…?」
「全然なんないから、おいで。」
私はふ~っと息を吐き、「わかった」とあなたの隣に座った。
自分の心が透けないようにと、厳重に囲いながら。
「もう少しで終わるから、そこにいて。」
「あ、じゃあ、コーヒー入れてくる…それともご飯作ろうか?」
「いや、そこにいて。」
「う…うん。」
立ち上がろうとする私の腕を強く掴んで、あなたはもう一度私を座らせた。
手で腕を掴まれたまま、数分。
そこからじわじわと血液が動きだし、私の身体を熱くさせていく。
ああ…ほんとにダメだ…
あなたのきれいな横顔をみていると、吸い寄せられるようにキスしたくなる。
ふと、あなたがこちらを向くから、ドキッとする。
「なに?」
「な、何も言ってないよ…?」
「言ってる。」
「えっ……あっ……
パクッと唇ごと覆うキス。
何度か繰り返されて、離れていく。
「もう少しだから、待ってて…。」
こんなに甘いお預けなんてこの世に存在するのだろうか…。
私が頷くと、「イイコだね」って、もう一度降りてくる柔らかな唇。
優しいキスに、身体がパンクしそうになる。
「今日は、7時に迎えが来る。」
「…早い…ね…。」
「うん…早い…。」
「じゃあ、もう…ご飯、作らないと…。」
「…うん…そうだな…。」
「離れなきゃ…作れないよ…。」
「うん…そうだな…。」
「台本も、読まなきゃ…。」
「うん…そうだな…。」
「…だから…隣は…ダメだって…言ったのに…。」
あなたは、私の耳や鼻、指先まで…身体の突起した部分を噛んでいく。
私も、あなたに同じことをした。
ただただ、あなたを愛している。
爪の先、指の付け根までも、こんなにも愛しい。
こんなにも好きなのだから、きっと、ずっと…忘れない…
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「今度は私から好きと言いたい」第3話をブログUPしてあります。
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4話からはあちらで書かせていただきますので、もしよろしければいらしてくださいね。
「今度は私から好きと言いたい」
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「あなたを知りたい」蒼月ともえ
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tomoe