はじめから
妄想小説@「好きで好きで、どうしても好きで。」①(大野智)
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一つ前のお話
妄想小説@「好きで好きで、どうしても好きで。」29(大野智)
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妄想小説@「好きで好きで、どうしても好きで。」29智サイド(大野智)
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「好きで好きで、どうしても好きで。」(蒼月ともえ)
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第30話
こう思うことにした。
私とあなたは、七夕の織姫と彦星で、今だけ一緒にいることができる、そんな関係。
時期が来れば、遠く離れてお互いの場所に戻っていく。
そういう運命だったと思えば、きっと大丈夫。
「ん?なんだよ?」
私の視線に気づいたあなたが、こっちを向いた。
目をくりくりさせて、首を傾げるあなたの無邪気な表情にドキンとする。
「ご飯、ついてる。」
「え?どこ?」
「ここに。」
私は、自分のほっぺを指差した。
あなたは、スッと立ち上がって手を伸ばし、私の頬に触れる。
驚いてあなたを見ると、「冗談だよ。」ってにっこり笑った。
心は、こんな不意打ちに、猛烈に弱い。
構えていないから、直撃されてしまう。
痺れるような感覚が、頬から全身に伝わって、キュンと心臓を突き刺した。
あなたは何事もなかったように、席に戻ってご飯を食べ始める。
これ以上好きにならないようにするには、どうしたらいいんだろう…。
愛しくてたまらないあなたを、ギュッと心の奥に閉じ込めて、食事に集中しようと箸を取る。
「なあ…。」
「ん?」
「うまいよ、メシ。俺、この卵焼き、大好き。」
次々と繰り出される不意打ちに、私の心臓は、もはやショート寸前。
「あ…うん。」
「ほんと、ありがとな。」
私のそっけない返事に対して、あなたのくしゃくしゃな笑顔。
私のお皿にまで箸を伸ばして、「いい?」なんて聞かれると、ポンコツな心臓はガタガタ、バタバタ煩いぐらいに暴れ出す。
「明日も食わしてくれるよね?」
「あ…うん、もちろん、し、仕事だし。」
「そうだよな…仕事だもんな。うん。それでも、嬉しい。
…じゃあ、そろそろ準備してくるから。」
あなたは、空になった食器を持って立ち上がる。
鼻歌を歌いながらシンクに立つ後ろ姿に、心の中で話しかけた。
…仕事だけど、仕事じゃない。あなたに喜んでもらいたいから、頑張って作ったよ…
そう、言葉に出して言えたら、ポンコツな心臓も落ち着いてくれるだろうか。
「そのままでいいよ、洗わなくていいから。」
「…そっか。ありがとな。」
あなたは、「ごちそうさま」と言ってリビングを後にした。
私は、コーヒーを一口飲みこんで、目を閉じる。
自分の心臓の音と一緒に聞こえる、あなたの優しい声。
…うまいよ、メシ。…大好き…
言葉の矢は、ドカンと心を突き抜けていく。
おさまれ…
おさまれ…
私は、胸を押さえて、二回深呼吸した。
パタンとドアが開いて、あなたがリビングに戻ってくる。
「これ。」と言って、封筒を2つ 私の前に置く。
「なに?」
手に取り、中を見れば、お金が入っていた。
「こっちは食費、で、こっちはお前の給料前借り分。」
「前借りって…こんなに、いらないよ。」
びっくりして突き返すと、
「いいから、もっとけ。
それに、これはお前の給料だし、ただであげるんじゃねーよ。
とりあえず、食いもんの調達と、後はお前の着るものとか、身の回りのものとか、買ってくるといいよ。」
と、真面目な顔して、つき返してくる。
言われてみれば、確かにそうだ。
あなたの言うとおり、何にも持っていない。
服も下着も化粧品も、身の回りのものは全部なかった。
「あ…うん。それじゃあ、そうさせてもらっていい?ありがとう。多い分は、あとからちゃんと返すから。」
「ん…まあ、余計なことは、考えなくていいから、とりあえず行ってこいよ。」
私が「うん」と頷くと、封筒の上に数字を書き、ポケットから鍵を出して机に置いた。
「それからこれ、山田さんの番号。
遠くに行くときは、山田さんを呼ぶといいよ。
あと…合鍵。
それから、ここを出るときは、マスクをしていけよ。
俺が渡した携帯も、ちゃんともってな。」
「うん…ありがとう。」
「おうっ!任せとけっ!」
ふざけたように胸を叩くあなたに、心が揺れる。
手を伸ばせば、触れられる距離にいて、もし今、後ろから強い風が吹いたら、それを理由にあなたに抱きつくことができるのに…。
あなたの携帯が鳴った。
マネージャーからだと言う。
「じゃあ、行ってくる。帰りは深夜になるから、夜は食事もいらないし、寝てていいからな。」
「…うん、行ってらっしゃい。」
「ああ…行ってくる。」
そう言ったくせに、全然行こうとしない。
あなたは、私のことをずっと見たまま動かない。
「どうしたの?」
「ん?いや…なんか俺、仕事頑張れそうな気がする。」
「えっ?」
「わかんねーけど、お前がうちにいるって思ったら、なんか、やる気出てきた。」
あなたのはにかんだ笑顔に、胸がキュンとなる。
その髪に触れたくて、指先が動くのを、ぎゅっと握って我慢した。
「じゃ、行ってくる。」
くるりと身体を翻して、あなたは部屋を出ていった。
私の胸は、しばらくドキドキしたまま。
あなたの言葉一つが、私の胸をキュッと突き刺して、動けなくする。
静かになった部屋で、あなたのことを考えていた。
私を信用してくれているのが、痛いくらいわかる。
知り合ったばかりの私を、一人で部屋に置いておくなんて、普通はできるもんじゃない。
私が、泥棒だってこともあり得るのに…。
このままお金を持って、ドロンってこともあるんだよ?
なのに、合鍵まで…。
あんなに多くの人に囲まれて過ごしている人なのに、こんなに純粋なのはなんでだろう。
もっと人を疑った方がいいのに。
信じすぎたら、傷ついてしまうのに。
優しいあなたの心は、綿菓子みたいにふわふわで、やわらかいはずだから…。
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「好きで好きで、どうしても好きで。」(蒼月ともえ)
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ただし、あちらは小説を書く場所なので、画像はありません。
普通に小説を読みに来る方がたくさんいます。
なので、嵐さんに関してはこちらのブログでお願い致します。
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「あなたを知りたい」蒼月ともえ
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「愛念」蒼月ともえ
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いつもありがとう。
感謝しています。
tomoe