おはようございます。
画像も名前も違えば、
でもね、
………………………
「奏(そう)ちゃんは、なんで、私といるの?」
「…ん?どうした?いきなり。」
奏ちゃんみたいな人気者が、なんで私なんかの隣にいるのか、不思議でならない。
「このおたふく顔を、気に入ってくれたの?」
「お、おたふく?…違う違う…おたふく好きだけど…それだけじゃねーな。」
「じゃあ…性格?」
「…う~ん…それもあるけど…。」
奏ちゃんは、右手をおでこに当てて、笑いを堪えているみたい。
「じゃ…じゃあ…カ、カラダ?」
「ぶっ!ははははははっ!」
奏ちゃんは、お腹を抱えて大爆笑。
「笑いすぎだよ!もうっ!」
「だって…聞くか、普通?」
奏ちゃんは、私を腕の輪っかの中にいれて、おでこをコツンとぶつけた。
「…じゃあ…なんでなの?」
「じゃあ…お前は、なんで俺なの?」
「全部って?」
「ぜ、全部だよ。顔も、性格も…全部…。」
「ふーん…。」
唇が触れるほど近づいて、私の瞳をぐっと覗き込む。
こういうときの、奏ちゃんの目ヂカラは半端ない。
さすがというべきか。
「ほ、ほんとはね…奏ちゃんに、急に引き寄せられたっていうか、いきなり好きになったから…なにがどうとかじゃなくて…
だから、なんでって言われても…何が何だかわかんない…。」
奏ちゃんは、私の髪をひと束掴んで、ゆるく引っ張った。
「お前のことは、俺が無理やり引き寄せた。こうやって、ぐい~って。」
「もう、何言ってんのよ。」
「ほんとだよ。お前を見つけたのは、俺が先だから。」
「えっ?」
奏ちゃんが本気のときは、瞳の中に星がきらめく。
「保育園でさ…子供にまとわりつかれてる、お前を見た。」
「保育園で?」
「うん、ロケ先の…隣の保育園。待ち時間に車の中からずっと見てた。」
「ふふふっ、あんときも、こんなふうに子供たちに手も足もエプロンも…みんな引っ張られて…お前、めっちゃ人気者だった。」
「…そんな…い、いつの話…?」
「もう、5年ぐらい前かな…。」
驚いた。
「声なんかかけられるわけねーし…なんとなくな…それっきりだったけど…。
…でも、お前、俺のライブ来ただろ?」
「う、うん…先輩の付き合いで…。」
「俺、お前見つけてさ…びっくりした。
つか、お前、興味なさそーにしてたよな、最初。」
「あ…え?…み、見てたの?…だ、だってあんまり、その…仕事忙しくって…テレビとか…観てなくて…ごめん…。」
「はははっ、いいんだよ、それで!
俺、だからさ、お前にこっち向いてもらいたくて、いっぱい手ぇ振って、バンバン指さしたんだぜ?覚えてる?」
奏ちゃんが、手を振っていたのは覚えてる。
「…うん…覚えてる…私?って思って…。」
「びっくりした顔で見返すお前がおかしくてさ。
そのあとすぐに、釣竿投げて、お前を釣って引き寄せた。」
「あ、うん…あのとき、あれ、なにしてんのかわかんなくて…。
でも、なんか…あのときから…急に…。」
奏ちゃんは、腕の輪っかをぎゅーっと狭めて、私を強く抱きしめた。
「そうだよ、わかった?
俺が、お前を引き寄せたの。人気者のお前を、どうしても独り占めしたくて。」
人気者の私を独り占めって…?
「もう、それから会いたくてたまんなくなって、
一度は諦めてたんだけど、お前の顔見たら、どうにもなんなくて。
すぐ次の日保育園に行ってさ、お前をずっと見てた。
子供に囲まれてるお前見てんの、大好きなんだよ、俺。
そんで、仕事が終わるのをずーっと待ってた。」
「声かけられたとき、すごくびっくりしたもん。」
奏ちゃんの瞳に嘘はない。
そこからはじまって、今に至るわけで…。
「それでもなんか、今も嘘みたいで…私なんかのどこがって、奏ちゃんを知れば知るほどいつも思うんだよ。
こんな人気者の奏ちゃんが、なんで…って。」
「まだ言う?
俺からしたら、お前の方がめちゃめちゃ人気者に見えるんだけどな。
あのちびっこたちに、悪いな~って、いつも思う。ほんとは、みんなのお前なのに、こうして俺だけ、お前を独り占めしてんだもん。」
「…。」
「つい最近も、お前、ちびっこたちにプロポーズされてたもんな。『せんせーとけっこんするー』て。
あいつらに、俺、なんて言われるか…今からこえーよ。」
「…聞いてたの?」
「子供の声はでけーから、外からでも良く聞こえる。」
忙しいくせに、なにしてんだか。
それは、奏ちゃんが、最初に私を見つけてくれてから、10年後の春でした。
~end~
……………………
昨日とは違うテイストのものですが、楽しんでいただけてるでしょうか?
相葉ちゃんドラマもまだ観られておりませんが、
私には、お話を書くことが、良い気晴らしです(^^)
今日も素晴らしい一日を!