こんばんは。
いつもたくさんのコメントをほんとにありがとうございます。
来てくださる方のお名前も、だいぶ把握できるようになりました(o^-')b
ほんとにいつもありがとう。
何度も何度も読み返して、心のエネルギーとさせていただいております。
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妄想小説@「愛念」①はコチラ
http://ameblo.jp/see-la/entry-11557388231.html
初めていらした方は、第一話から読んでみてくれると嬉しいです(´∀`)
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あの時…もし俺がもう少し遅かったら、ナナはどうなっていたんだろう。
日本でのあいつ…あいつだってナナのこと…
考えるだけで心の奥がジリジリする。
ナナがほかの男の手で…?
そんなこと考えらんねーよ。
顎を仰け反らせて、泣き出しそうな切ない声で俺の心を揺さぶるナナ。
他の男の前でも…こんな姿、見せんのか?
吐息を震わせて、俺の求めに応じているナナ。
あの男たちにも、こうされていたかもしれない。
ジリジリとした感情が湧き上がり、徐々に支配されていく。
「ナナ…
「は…い…
「俺のこと好き?」
「…好き…です…
「他のヤツよりも?」
「…他…?
「うん、他のヤツよりも、俺が好き?」
「…他なんて…いません…
躊躇いがちに言葉を発するナナ。
言いたくない。
けれど、口をついて吐き出される醜い感情。
「…あいつと…何してた…?
「…あいつ…?
「日本の…元彼…
「えっ…何って…何も…
ナナの動揺が俺の指に伝わる。
「…こう…されたの…?
ナナの内側を探る。
身体を小刻みに震わせ、ナナは俺の髪を掴んで頭(かぶり)を振る。
「…されてなんか…いません…
「でも…キスはしたんだろ?」
「……。」
ナナは答えない。
「したんだろ?」

目を伏せ、無言で小さく頷いた。
その答えに、一気に頭に血が上る。
くっそ…気持ちが暴れてどうしようもない。
乱暴になんかしたくない。
だけど、心と行動は反比例していく。
ごめん…こんなつもりじゃないんだ…
「やっ…やめ…
ナナはズルズルと崩れていき、床に座り込んだ。
荒い息で、「ごめんね」と繰り返す。
ああ…違う…謝らせたいんじゃない…
言葉を遮るように、ナナに唇を重ねた。
いやでも、あいつとのキスが頭をよぎる。
「ナナからしてよ。」
ナナは、ゆっくり唇を寄せ、静かに俺の唇を覆っていく。
優しいキス。
優しすぎて、心が辛い。
「もっと…
俺の心の醜さを、飲みこんでほしい。
深い口づけに変わる。
口腔で絡んだ想いは、ナナへと向かっていく。
「…俺をどうにかしてくれよ…
ナナは、一瞬動きを止める。
そして、意を決したように、大胆に強く深く唇を泳がせてきた。
…苦しいよ…ナナ…
ナナが俺の言うようにすればするほど、自分が嫌になる。
「ごめんね…
ナナは唇を離して、俺を抱きしめた。
俺は何やってんだ…
ナナの瞳には、涙が溢れている。
ああ…また…俺のせいか…
「先輩…ごめんなさい…彼とは…好きで付き合ったんじゃなくて…
「…好きでもないやつと、そういうことすんのかよ…
違う、言いたいのはこんなことじゃない。
ナナは泣いていた。
ぽろぽろと涙をこぼして、震えていた。
結局ナナを泣かすのはいつも俺だ。
最悪だ…
「いいよもう、聞きたくない…
そう言って、ナナから視線をはずした。
自分から聞いといて、聞きたくないとか…
酷いこと言ってるって分かってんのに…
「先輩…嫌いにならないで…
嫌いになれるもんなら、もっと早くになってるよ…
「ごめん…今日はもうやめよう…疲れただろ…こんなに何回もじゃ、お前の身体が持たないよな…
俺は、ナナを抱き上げて、寝室のベッドにおろした。
「俺、ちょっと仕事してくるから、ゆっくり休んで。」
そう言って、寝室の電気を消してドアを閉めた。
リビングのソファーに座る。
バカじゃねえの、俺は。
見えない相手に嫉妬して、ナナを責めるなんて…
俺にだって過去はあるのに…
何やってんだか…

ただ好きなだけなのに、なんでだよ…
やり場のない苛立ち。
自己嫌悪。
あーーーっ!
爪を噛み、髪をぐしゃぐしゃに掻き乱す。
冷蔵庫からビールを取り出し、一気に飲み干した。
何本飲んでも酔えなくて…もっと苦しくなるだけだった。
「先輩…起きてください。」
ナナの声で目を覚ます。
腹にかかるタオルケットをどかして起き上がる。
…あのままここで寝てたのか…
どかしたタオルケットに視線を送る。
きっと、ナナがかけてくれたんだろう。
「ご飯できましたから、食べてくださいね。」
優しいナナ。
醜い俺。
もう、ナナを見ているのが辛かった。
「メシ、いいや…
ごめん、今日はもう行かなきゃ。」
そう言って、視線を合わさず、バスルームに向かった。
脱衣所でスーツに着替え、ネクタイを締めた。
自分の心も締められていくようで苦しかった。
ナナは玄関に送りに来てくれる。
「気をつけて、いってらっしゃい。夜は、カレーでいいですよね?」
その問いには答えず、作り笑いを浮かべて「いってきます」と外に出た。
見上げた空はどこまでも青い。
自分の心の醜さが恥ずかしくなるような、そんな青だった。

夕方、ナナにメールした。
同僚と食事して帰るとウソをついた。
自分の心の整理がつかない。
今、ナナを見たら、気持ちをぶつけてしまうに違いない。
なんで?
どうして?
そんな言葉でナナを責めたてるだろう。
自分の胸をトントンと2度叩いた。
夜空に浮かぶ月を見上げる。
初めて本気で人を好きになった。
だから…分からないことだらけだ。
この痛さは…何なんだよ…
どこかの本で読んだ言葉。
『すきになる ということは
心を ちぎってあげるのか
だから こんなに痛いのか』
これを読んだときは、よく意味が分かんなかったけど…
今は、はっきりとわかる…
勝手に嫉妬して、勝手に不安になって…
自分の弱さを思い知った。
マジで…痛てーよ…
ナナ…助けてよ…

猛烈な嫉妬の海の中から抜け出せなくて、このままもがき苦しみながら溺れてしまうんだろうか…
ナナ…会いてーよ…
ナナ…抱きしめたいよ…
公園のベンチに寝転んで、夜空に浮かぶ月を見る。
雲が流れてきて、月をかき消した。
真っ暗な空。
まるで俺自身だな…
雨の匂いを感じる風を受けながら、俺は目を閉じた。

ナナが今、どんな気持ちでいるかも分からずに…。