Quantcast
Channel: Blue Moon
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2401

妄想小説@「愛念」⑦

$
0
0


こんばんは。



いつもたくさんのコメントをほんとにありがとうございます。


来てくださる方のお名前も、だいぶ把握できるようになりました(o^-')b


ほんとにいつもありがとう。


何度も何度も読み返して、心のエネルギーとさせていただいております。


これからもよろしくお願い致します。





妄想小説@「愛念」①はコチラ


http://ameblo.jp/see-la/entry-11557388231.html



初めていらした方は、第一話から読んでみてくれると嬉しいです(´∀`)







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






あの時…もし俺がもう少し遅かったら、ナナはどうなっていたんだろう。



Blue Moon~大野智~ 嵐×妄想小説-image



日本でのあいつ…あいつだってナナのこと…


考えるだけで心の奥がジリジリする。



ナナがほかの男の手で…?

そんなこと考えらんねーよ。



顎を仰け反らせて、泣き出しそうな切ない声で俺の心を揺さぶるナナ。

他の男の前でも…こんな姿、見せんのか?


吐息を震わせて、俺の求めに応じているナナ。

あの男たちにも、こうされていたかもしれない。



ジリジリとした感情が湧き上がり、徐々に支配されていく。




「ナナ…



「は…い…



「俺のこと好き?」


「…好き…です…




「他のヤツよりも?」



photo:01



「…他…?


「うん、他のヤツよりも、俺が好き?」


「…他なんて…いません…


躊躇いがちに言葉を発するナナ。




言いたくない。
けれど、口をついて吐き出される醜い感情。



「…あいつと…何してた…?


「…あいつ…?



「日本の…元彼…


「えっ…何って…何も…


ナナの動揺が俺の指に伝わる。




「…こう…されたの…?




ナナの内側を探る。

身体を小刻みに震わせ、ナナは俺の髪を掴んで頭(かぶり)を振る。



「…されてなんか…いません…


「でも…キスはしたんだろ?」




「……。」


ナナは答えない。



「したんだろ?」



Blue Moon~大野智~ 嵐×妄想小説-image




目を伏せ、無言で小さく頷いた。

その答えに、一気に頭に血が上る。
くっそ…気持ちが暴れてどうしようもない。



乱暴になんかしたくない。
だけど、心と行動は反比例していく。


ごめん…こんなつもりじゃないんだ…

「やっ…やめ…


ナナはズルズルと崩れていき、床に座り込んだ。





荒い息で、「ごめんね」と繰り返す。


ああ…違う…謝らせたいんじゃない…



言葉を遮るように、ナナに唇を重ねた。


いやでも、あいつとのキスが頭をよぎる。




「ナナからしてよ。」



ナナは、ゆっくり唇を寄せ、静かに俺の唇を覆っていく。

優しいキス。


優しすぎて、心が辛い。



「もっと…



俺の心の醜さを、飲みこんでほしい。


深い口づけに変わる。

口腔で絡んだ想いは、ナナへと向かっていく。



「…俺をどうにかしてくれよ…



Blue Moon~大野智~ 嵐×妄想小説-image



ナナは、一瞬動きを止める。


そして、意を決したように、大胆に強く深く唇を泳がせてきた。



…苦しいよ…ナナ…


ナナが俺の言うようにすればするほど、自分が嫌になる。





「ごめんね…


ナナは唇を離して、俺を抱きしめた。




俺は何やってんだ…



ナナの瞳には、涙が溢れている。


ああ…また…俺のせいか…



「先輩…ごめんなさい…彼とは…好きで付き合ったんじゃなくて…



「…好きでもないやつと、そういうことすんのかよ…


違う、言いたいのはこんなことじゃない。


ナナは泣いていた。

ぽろぽろと涙をこぼして、震えていた。

結局ナナを泣かすのはいつも俺だ。

最悪だ…



「いいよもう、聞きたくない…


そう言って、ナナから視線をはずした。


自分から聞いといて、聞きたくないとか…

酷いこと言ってるって分かってんのに…



「先輩…嫌いにならないで…


嫌いになれるもんなら、もっと早くになってるよ…



「ごめん…今日はもうやめよう…疲れただろ…こんなに何回もじゃ、お前の身体が持たないよな…


俺は、ナナを抱き上げて、寝室のベッドにおろした。




「俺、ちょっと仕事してくるから、ゆっくり休んで。」


そう言って、寝室の電気を消してドアを閉めた。
















リビングのソファーに座る。




バカじゃねえの、俺は。

見えない相手に嫉妬して、ナナを責めるなんて…



俺にだって過去はあるのに…


何やってんだか…



Blue Moon~大野智~ 嵐×妄想小説-image




ただ好きなだけなのに、なんでだよ…


やり場のない苛立ち。
自己嫌悪。


あーーーっ!

爪を噛み、髪をぐしゃぐしゃに掻き乱す。



冷蔵庫からビールを取り出し、一気に飲み干した。


何本飲んでも酔えなくて…もっと苦しくなるだけだった。






















「先輩…起きてください。」


ナナの声で目を覚ます。


腹にかかるタオルケットをどかして起き上がる。

…あのままここで寝てたのか…


どかしたタオルケットに視線を送る。

きっと、ナナがかけてくれたんだろう。


「ご飯できましたから、食べてくださいね。」


優しいナナ。

醜い俺。

もう、ナナを見ているのが辛かった。



「メシ、いいや…



Blue Moon~大野智~ 嵐×妄想小説-image

ごめん、今日はもう行かなきゃ。」

そう言って、視線を合わさず、バスルームに向かった。




脱衣所でスーツに着替え、ネクタイを締めた。


自分の心も締められていくようで苦しかった。






ナナは玄関に送りに来てくれる。


「気をつけて、いってらっしゃい。夜は、カレーでいいですよね?」



その問いには答えず、作り笑いを浮かべて「いってきます」と外に出た。








見上げた空はどこまでも青い。


自分の心の醜さが恥ずかしくなるような、そんな青だった。





Blue Moon~大野智~ 嵐×妄想小説-image
















夕方、ナナにメールした。


同僚と食事して帰るとウソをついた。


自分の心の整理がつかない。

今、ナナを見たら、気持ちをぶつけてしまうに違いない。


なんで?

どうして?


そんな言葉でナナを責めたてるだろう。



自分の胸をトントンと2度叩いた。



夜空に浮かぶ月を見上げる。


初めて本気で人を好きになった。

だから…分からないことだらけだ。


この痛さは…何なんだよ…

どこかの本で読んだ言葉。


『すきになる ということは


心を ちぎってあげるのか



だから こんなに痛いのか』


これを読んだときは、よく意味が分かんなかったけど…



今は、はっきりとわかる…



勝手に嫉妬して、勝手に不安になって…

自分の弱さを思い知った。






マジで…痛てーよ…

ナナ…助けてよ…




Blue Moon~大野智~ 嵐×妄想小説-image




猛烈な嫉妬の海の中から抜け出せなくて、このままもがき苦しみながら溺れてしまうんだろうか…




ナナ…会いてーよ…


ナナ…抱きしめたいよ…




公園のベンチに寝転んで、夜空に浮かぶ月を見る。


雲が流れてきて、月をかき消した。


真っ暗な空。

まるで俺自身だな…


雨の匂いを感じる風を受けながら、俺は目を閉じた。



Blue Moon~大野智~ 嵐×妄想小説






ナナが今、どんな気持ちでいるかも分からずに…。








Viewing all articles
Browse latest Browse all 2401

Trending Articles