こんばんは。
えっと…先に謝っときます。
ごめんなさい。
寝られない方もいらっしゃったようで…ほんとスイマセン!(´Д`;)
あの…読むのが辛い方は…飛ばしてくれていいですからね…?
ほんと、無理しないでくださいね。
できるだけ、早く次を読めるように努力いたします。
前記事、「愛念」⑥には、ほんっとにたくさんのコメント&メッセージをありがとうございました。
内容について、皆様からいろいろご意見をいただきました。
ほんとにありがとうございます。
全て受け止めて、この後も心して書かせていただきますので、よろしければどうぞ最後までお付き合いくださいませ。
妄想小説@「愛念」①はコチラ
http://ameblo.jp/see-la/entry-11557388231.html
初めていらした方は、第一話から読んでみてくれると嬉しいです(´∀`)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
カレー…無駄になっちゃった…
先輩からのメールを見てつぶやいた。
一人では食べる気がしない。
たっぷり作ったカレー。
シチューは足らなくなったから、今度はたくさん作った。
だけど…
誰にも食べてもらえない。
切なくなって蓋をした。
ここには、友達もいない。
この部屋しか知らない。
一人でここまで来たけれど、先輩がいなければ何もわからない。
急に孤独感が襲ってくる。
自然と溢れだす涙に戸惑っていた。
先輩から言われた言葉。
…好きでもないやつと、そういうことすんのかよ…

確かにそうだ…
そう思われてもしょうがない。
なんで…付き合ったりしたんだろう…
なんで、キスなんかしたんだろう。
私のこと、汚いって思ったよね…
だらしない女だって…思ったよね…
朝、目を合わせてくれなかった先輩。
いつもの優しい笑顔も、なかった。
…もう…見るのも触れるのも、嫌ってこと…?
昨夜、
真っ暗な部屋に残された私は、なかなか寝付けなかった。
辛い。
苦しい。
辛くて辛くて、苦しくて苦しくて…
身体を丸めて泣いていた。
自業自得。
自分のせいだと分かっていても、どうにもしようがなかった。
真っ暗な部屋は、怖かった。
自分のしたことに、恐ろしいほど後悔した。
愛する人を悲しませた自分。
自分の愚かさを恥じていた。
どのくらい時間が経っただろう。
眠れなくて、リビングのドアを開けた。
もう一度先輩と話したかった。
部屋は真っ暗。
ゆっくり歩いていけば、転がる缶を蹴とばした。
それを拾ってソファーに近づけば、先輩が眠っていた。
その表情は辛そうで…
時折、小さく唸っている。
額に滲んだ汗を拭った。
嫌な夢でも見ているの…?
私は、寝室からタオルケットを持ってきて、先輩の上にそっとかける。
このままここにいたい。
けれど、嫌がられるようなことはしたくない…
想いを振り切って、寝室に戻った。
そして、一睡もできずに朝を迎えた。
カレーの匂いが漂う部屋に私は一人。
好き…
でも、それだけじゃない。
大切で守りたくて…先輩が笑顔でいてくれたら、それでいい。
私と一緒にいたら、先輩から笑顔が消えてしまう。
それだけは嫌だ。
こんなところまで押しかけてきて、先輩を苦しめてしまった。
なんて馬鹿なことをしたんだろう。
私は、ゆっくりと部屋を歩いて回る。
キッチン。
あの日のように、抱きしめられて嬉しかった。
先輩がおいしいって言ってくれるように、シチューを頑張って作ったっけ…
寝室。
初めて愛してもらった場所。
先輩の胸の中は温かくて…こんなに幸せだと思ったことはなかったな…
リビング。
ここで何度もキスしたっけ…
それから、このソファー。
これを見ると、なんだか恥かしい。
先輩の言葉も表情も、鮮明に思い出せるから。
「じゃあ…俺がどんなにナナのことを好きか…教えてやるよ…。」
そうして、苦しいほど強く愛された。
求めてもらえる喜びに、涙が止まらなくて、先輩を困らせたっけ…
広いリビングの一角に、先輩のデスクがある。
書きかけのデザインが、机のあちこちに散らばっている。
これは…魚のモチーフ…
こっちは…お花がたくさん重なって…ああ…大きなハートになっているのね…
昔から変わらない繊細な描写。
洗練された色彩。
根底はあのころと変わらない…だけど、より進化していて圧倒される。
先輩はやっぱりすごい。
それに比べて、私には何もない。
書棚にはたくさんの本が並ぶ。
ディスクや書類も無造作に積んであった。
そのうちの一つを手に取ろうとして、バサバサと本の山を崩してしまった。
私は急いで、本や書類を戻していく。
あ…これって…
指先が、それを拾うことを躊躇する。
一枚の写真。
笑顔の先輩。
そして、すごくきれいな女性。
寄り添って写る、ツーショット写真。
写真の裏を見れば、「大好きな智へ」と書いてある。
ドキンと胸が鳴った。
見てはいけないものを見た気がして、写真を書類の隙間に差し込んだ。
ドキドキがおさまらない。
きれいな人だった。
…彼女…だよね…
大好きな智へって書いてあったもん…
そんなの、当たり前のこと。
いて当然だよ。
いて当然…か…
あんな素敵な人、ずっと一人なはずなんてない…
止まったはずの涙が溢れだす。
自分の全部が負けていた。
きっと、比べているだろう…
あんなきれいな人がいるのに、なんで私なんかと…
もう…立っていることさえ苦しい。
心が悲鳴を上げていた。
助けてって、苦しいって叫んでいた。
私は、この数日の思い出だけで充分…
先輩…
あの写真の笑顔のように、毎日笑っていてね。
私の願いはただ一つ。
先輩が、いつも笑顔でいてくれることだから。
私は荷物を片付け、先輩の部屋を後にした。
「智!何してるの?こんなところで!」
名前を呼ばれて飛び起きた。
「あ、お前…なんでここに?」
今は会社の同僚。
こっちに来て…数カ月だけ付き合った彼女がそこにいた。
「仕事の帰りよ。智はもっと早く帰ったはずでしょ?」
「ああ、ちょっと考えごとしてた。」
そんな話をしていると、雨がポツポツと降り始め、途端にどしゃ降りになった。
「わっ、何だこの雨!」
「智、傘は?」
「あるわけねーよ!」
「じゃ、貸すから、とりあえずここに入って!」
そうして、久しぶりに訪れたこいつの家。
「ほら、これ使って。」
玄関でタオルを渡され、身体を拭いた。
「とりあえず上がって。今なんか温かいもの用意するから。」
ナナの顔が頭をよぎる。
「なにしてんの、風邪ひくよ!」
そう言われて、手を引かれる。
ああ、そうだった…
こいつと付き合ったときも…こんな風に手を引かれて…
ナナを忘れるためだった…
日本から逃げるようにこっちに来た。
それでもナナを好きで、ずっと苦しくて…
そんな矢先、こいつが現れて…
ナナを忘れるために…いや、ナナの代わりに抱いた…
窓の外は激しい雷雨になっていた。
「当分、帰れそうにないね…」
「ああ…そうだな…
立ったまま、窓辺で雨の降る様子を眺めていた。
「智…
突然、後ろから俺の首に回される腕。
「いいよ…抱いても…
俺はまた、同じことを繰り返そうとしていた…