一つ前のお話:妄想小説@続「愛念」⑬はこちら
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妄想小説@「愛念」①はコチラ
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初めていらした方は、第一話から読んでみてくれると嬉しいです(´∀`)
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部屋に戻って、ソファーに座る。
なんとなく体がだるくて、そのまま横になった。
ちょっとはしゃぎすぎたかな…
少しだけ眠ろう…
そう思って、目を閉じた。
…ナナ…俺さ、お前の元彼に嫉妬してたんだ…
自分に自信なんかなくって…お前との関係が壊れるのが怖くて…
好きだなんて言えなかった…
あの写真の彼女は…そんなんじゃなくて…
いつも…悲しませてごめんな…
夢を見た。
先輩が私に話してくれたことが、次から次へと浮かんでくる。
「ナナ!」
呼んでる?
「ナナ、大丈夫か!?」
先輩の声がする。
私はゆっくり目を開けた。
「お前、どうしたんだよ!」
先輩が、怖い顔で私を見ている。
「すごい熱じゃないか!なんで連絡しなかったんだよ!」
ああ、私熱があるのか…
だからなんか、身体が熱く感じたんだ…
「…先輩…仕事は…?」
「今帰ってきたんだよ、もう夜だ。わかんないのか?」
ああ…もう夜なんだ…
ずっと寝てたのかな…
「すぐに病院に連れてってやるからな!」
私を抱きかかえようとする、先輩の手を制した。
「…いいですから…ここに…いてください…。」
「お前…何言ってんだよ?」
「大丈夫…すぐ…直りますから…ここに…いて…
私は、先輩の腕を掴んでいた。
離したくなかった。
「…分かったよ…でも、少しでも悪くなるようだったら、すぐに病院に行くからな?」
「…はい…
先輩は私を抱き上げ、ベッドにおろした。
手に持っていた薬を私に飲ませて、ふうっと息を吐いた。
「…ここに…
先輩がそっと隣にきてくれる。
「大丈夫、ちゃんと隣にいるからな。」
私の髪をなで、身体を優しく包むように抱きしめてくれる。
先輩の腕の中は温かくて、安心できた。
「ナナ…ごめんな…無理させちゃったな…
「…いいえ…謝らないでください…
熱で息が上がっている私を見て、先輩が言う。
「俺が変わってやれたらいいのに…
そうして、顔を傾け唇を重ねようとする。
私は、顔を避けて言った。
「ダメです…うつります…
「うつせよ、全部、俺に…
そうして、ゆっくりと唇を覆われる。
いつもとは違う、優しく包み込むようなキスだった。
「…ダメ…
顔を横に背けて、キスから逃れた。
「…分かった…ごめんな…お前がきついときに、何してんだろう、俺…
そう言って、悲しげに私を見つめる。
「俺、お前に何してあげたらいいんだ?全然わかんなくて…。」
「…そばに…いてくれるだけで…いいです…
「でも…それだけじゃ…俺が嫌なんだよ…。」
「…じゃあ…手、繋いでてください…
私が手を出すと、先輩はギュッと握ってくれる。
「他に…俺になんかできることはないか?」
「もう…十分です…ありがとうございます…
先輩が私を、強い瞳で見つめてくる。
「やっぱり…キス…しちゃダメか?」
「…ダメです…うつります…
「…いいよ、うつせよ…
「ダメです…
「…黙って…
「…ダ…っ…
先輩は、ゆっくりと何度も口づけた。
今度は私が唇を外さないように、そっと手を添えている。
熱…もっと上がっちゃうよ…
先輩の…ばか…
汗びっしょりだ…
熱と、先輩とで、身体が熱くてたまらない…
「服…着替えさせてやるからな…
先輩のパジャマ。
とってもおっきい。
「お前、こんなちっちゃいのか…
先輩が、自分のパジャマを私に着せながらつぶやいた。
「守ってやらなきゃな…お前を…
そうして、最後のボタンをかけ終ると、私の上にそっと重なった。
重くは、ない。
私には、体重がかからないようにしてくれている。
「早く治ってくれよ…お前が元気ないと、俺、寂しいからさ…
潤んだ瞳で見下ろされ、私は申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
「ごめんなさい…
「なんで謝るんだよ…悪いのは俺の方だよ…ごめんな…ナナ…
先輩は、切ない瞳で私を包む。
ゆっくりと降りてくる唇に、今度は抵抗などできなかった。
熱で頭がおかしくなったのか…
先輩の優しさに甘えているのか、わからない…
無意識に発していた言葉。
普段の自分じゃ、考えられない…
「…治してください…
「ナナ…?」
「先輩が…治して…
私の言っている意味を瞬時に理解した先輩は、私をゆっくりと引き寄せた。
「分かった…ナナは寝てるだけでいいから…
先輩はそう一言だけ言って、布団の中に姿を消した。
いつもよりもゆっくりとしたペース…
私を気遣ってくれているのが分かる。
先輩…私ね…
…どんな時でも、もう先輩なしではいられないみたい…
熱よりも何よりも、あなたを好きな気持ちに勝るものなんか何もない。
緩やかに昇っていく。
ゆっくり…そう、ほんとにゆっくりと…
あなたに手を引かれ、私は昇っていく。
いつもあなたのそばに…
どんな時でも、あなたに触れていたい。
私は、先輩の腕をギュッと掴んだ。
「大丈夫?」
「…はい…
そう答えて…その後の記憶は途絶えていた。
朝、目を覚ませば、すぐに先輩と目が合った。
「大丈夫か?」
そう問う先輩の目は、ほんとに優しくて…
心がキュッと音を立てる。
「寝てる間に体温測ったら、すっかり下がってたから。」
そう言って、私の頭をポンポンと叩いた。
「荒療治が効いたみたいだな。」
あ…
昨夜のことを思い出す。
急にものすごく恥ずかしくなって、布団に潜りこんだ。
「あ、なんだよ、ナナ~っ!出てこいよ~っ!」
甘い声で私を呼ぶ先輩。
あ~、やめて~、恥ずかしいよ。
「ナナ?」
先輩も布団に潜りこんできた。
薄暗がりの布団の中。
先輩のおでこが、私のおでこにコツンとぶつかる。
「下がってる…良かった…ほんとに…
そう言って、手探りで口づけを交わす。
布団の中で先輩が言った。
「今日はもう…思いっきりしてもいいよね?」
そう囁かれて、頭が爆発しそうになる。
そのまま先輩は、私の耳元で囁き続けた。
「今日は○○しよう、○○もしたいし、○○だってしてみたいし…ふふふ…
頭にドバっと血が昇ってくるのが分かる。
もー、わざとそんなこと言って!
私は居たたまれなくなって、ガバッと起き上がる。
「もー、先輩のエッチ!何にもしませんから!!!」
そう言って、布団から出ていこうとした私の腕を思いっきり引っ張って、勢いよくベッドに倒された。
「じゃあ、ナナはどんなことしたいの?」
上から見下ろされて、そんなこと聞かれて…
もう心臓がバクバク音を立て始めた。
「俺に、どうしてもらいたい?」
あ…先輩…そんな瞳で私を見ないでください…
…また熱が出ちゃいそうです…
「言ってよ。」
「あ…
「早く…
「えっ…ぁ……言えません…
「…言えないようなこと?」
「あ、いや、違いますっ!」
「じゃ、何?」
「…私は……
「…そっか。」
そう言って、私の髪をクシャっとかき回した。
「分かった、今夜な。」
先輩は今日もはじけるような笑顔で、部屋を後にした。
きっと今夜も飛ぶように帰ってきて、私を抱き上げてくれるんだろう…
そして…
私は、窓から空を見上げた。
今日の空も深く青く澄んで、どこまでも広がっていた。
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次、最終回です。
アップは夕方以降になります。
よろしくお願い致します。