こんにちは。
お久しぶりの「世界の終わりはきみだけに」です。
この後、昼休みに第4話をアップします。
よろしくお願い致します。
はじめからはコチラ。
妄想小説@「世界の終わりは、きみだけに」(大野智と櫻井翔)
↓
http://ameblo.jp/see-la/entry-11714705652.html
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1月から3月までの3か月間、理科じいの代わりに講師として採用になった。
1月8日、始業式の朝、先生として校門をくぐる。
応接室に通されて、ふかふかのソファーに座らされた。
応接室の中って、こんな風になってんだ…
生徒気分できょろきょろあたりを見回していたら、教頭先生に笑われた。
「大野と言う先生は、他にもいらっしゃるので、先生の方は智先生と名前で呼んでもらうことにいたしましょう。」
…智先生…何だかくすぐったい気分だ。
理科じいの担当しているクラスと、授業数、理科の主任の先生と顔合わせ…
一連の説明を受け、資料を整えていると、
「この後体育館で紹介がありますので、ご挨拶をお願いします。」
そう言われて固まった。
ご挨拶?
…ご挨拶…って、あの体育館の舞台の上でしゃべるやつか?
校長先生の長ーい話を、立ったまま聞いていた思い出が蘇る。
何を言ったらいいんだ?
急に心臓がドキドキしはじめる。
挨拶、挨拶…おはようございます…それから…今日から理科の授業をやる…じゃなかった…えっと担当します…でいいのか?…大野智です…あと、なに言えばいいんだ…
かなりテンパっているところに、教頭先生から声がかかる。
「では、参りましょう。」
スリッパをパタパタさせながら、体育館への廊下を歩いていく。
頭の中は挨拶のことでいっぱいだった。
メガネのふちを、意味もなく触れて、心を落ち着かせる。
校長先生から簡単に紹介された後、壇上へ登らされてマイクの前に立った。
一斉に俺の方を向く生徒たちの目。
深呼吸…
「おはようございます。今日から理科を担当します、大野智です。よろしくお願い致します。」
それだけ言って、さっさと後ろへ下がった。
これ以上あんなとこに立っているのは御免だった。
いきなり明日から授業だということで、とりあえず理科室に向かう。
…ああ…理科じいの部屋だ…
懐かしさに胸がいっぱいになった。
部屋の中をぐるりと歩いて、いつも理科じいが座っていた、あの椅子の横に座る。
理科じいに教えてもらったことを思い出す。
…確か…あの時はこんな風に…
近くにあった顕微鏡をいじりながら、理科じいのしていたように真似をしてみる。
教科書をひらいて、黒板に字を書いてみる。
真っ直ぐ書けない…
やってみると、意外と難しいんだな。
教科書の文を読んでみる。
なんか…気恥しい。
実験のページを開く。
顕微鏡を持ってきて、とりあえず理科じいのように…やってみる。
理科じいのようにやっているつもりなんだけどな…あれ…?
何度やっても上手くいかない。
不安を打ち消すように、明日の授業の準備を黙々とこなした。
そうして、あっという間に2か月が過ぎた。
教室と、理科室の往復で精一杯。
この時はまだ、何度も理科室の前を通る彼の姿に気づくことはなかった。
3月、理科じいの入院はまだ続いている。
4月からの復帰は臨めないということだった。
俺は、大学院を辞めることに決めた。
4月から正式に採用したいと、高校から打診されていたからだ。
入院している理科じいと、何度も話し合って決めたから悔いはない。
ただ一つ心に引っかかるのは、カスミのことだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
このお話は、
「世界の終わりは、きみだけと」にリンクして進んでいきます。
http://ameblo.jp/piman89/entry-11713206903.html