はじめから
妄想小説@「好きで好きで、どうしても好きで。」①(大野智)
http://ameblo.jp/see-la/entry-11849983884.html
一つ前のお話
妄想小説@「好きで好きで、どうしても好きで。」13(大野智)
http://ameblo.jp/see-la/entry-11866146955.html
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第14話
「俺、お前と別れた後、ずっと考えてた。」
「考える…?」
「様子がおかしいことも、すぐに分かった。
だけど、俺とお前は友達でも何でもない。
これ以上の詮索は、してはいけないと思った。
お前が決めたことだし、他人の俺がとやかく言うのもおかしいことだから。」
「……。」
「でも、何だか嫌な予感が…ずっとしてて…。
俺のカンは当たるんだ。
けど、理由もないのに、他人が訪ねていけるわけもない。
どうしたらいいかって…考えて…。
こんなとき、友達だったら、理由がなくても会えるよな…って思ってさ…。
じゃあ、友達になればいいって、お前とちゃんと知り合いになれたら、いいんじゃないかって、そう思ってこれを書いたんだ。」
あなたは、ポケットから綺麗に折られた紙を取り出した。
「だから、お前にこれを渡すつもりで、あの家に行った。」
「えっ…これ…?」
「開けて。」
紙をそっと開くと、名前、住所、電話番号、メールアドレス…それに、趣味や特技、好きな食べ物…?
紙から顔を上げて、あなたを見た。
「これって…?」
「俺のこと、知ってもらいたくて、頑張って書いた。
ほら、友達になってくださいって、ここに書いてあるだろ?」
あなたの指差す先に、確かにそう書いてある。
これが…あなた。
もう一度、紙に視線を落とす。
丁寧な文字と、かわいいイラスト。
細かな部分まで、分かりやすく書いてくれている。
一番下には、サルが手に持つ「よろしくね」の文字。
「…仕事のことは、自分の口で言いたいから、そこには書いていないけれど、それ以外は全部書いた。
自分のことを知ってもらいたくて、こんなに必死になったのは、たぶん…中学以来だよ。
今は、そんなことしなくても、俺だって分かっちまうから…。」
分かってしまうって…?
その言葉の意味が分からなくて、私はあなたに視線を送る。
あなたはふっと優しく微笑んで、大きな手で私の頭をくしゃっとした。
「だから、お前とはもう少しこのままでいたいんだ。」
あなたのつぶやきに、なんと答えたら良いのか分からない。
私は黙って俯いた。
「あのさ…。」
「俺たち、もう友達だよな?」
私は深く頷いた。
「じゃあ、友達の俺に、家のことを話してくれないか?お前の力になりたい。」
強い瞳のその奥に、ウソはなかった。
私は、戸惑いつつも言葉を選びながら、あの家で起きたことを少しずつ話していった。
あなたは黙って、眉根を寄せながら私の話を聞いている。
「…そして、私をマッサージすると言って、あの人が私の身体を無理矢理おさえて…その時に、あなたが来てくれました。…これで、全部です。」
すべて話し終えると、「クソッ!」と小さく呟いて、ガンッと椅子を叩いた。
「おかしな話だよな、山田さん。」
「そうですね。あまりにも酷い話だと思います。」
「俺、仕事で世話になってる弁護士さんがいるから、後で聞いてみるよ。相続のことやら、男がお前にしたこととか…。」
「私は、荷物を引き取る手配をしておきます。うちには、引っ越し関連の会社もありますから。」
私はびっくりして、二人を交互に見つめる。
「大丈夫だよ。俺も引越しのときはいつも山田さんに頼むから。屈強な男ばかりの引越し屋だから、心配いらないよ。」
「はい、心配いりません。プライバシーもきちんと守ります。安心して任せてくださいね。」
「引き上げた荷物は、俺の荷物を置くために借りた部屋があるから、とりあえずはそこに。」
「わかりました。」
「お金のことも、空港とか駅とか、全部に連絡いれておいた。だから、きっとなんとかなる。心配するな。」
二人の優しい言葉に、胸がいっぱいで、ただひたすらありがとうと頭を下げた。
「友達だろ?気にすんなって。」
「そうですよ。…あ、もうすぐ着きますから、降りる準備をしてくださいね。」
「了解!」
あなたはそう言うと、飛行機から降りたときのように、帽子とマスクを付ける。
「お前も、念のため、これ付けといて。」
マスク?
理由も分からず、私もマスクをつける。
タクシーは、静かに地下の駐車場に入っていく。
建物の入り口近くに車を寄せて、ドアを開けてくれた。
「またすぐ降りてくるから、駐車場で待ってて。」
山田さんにそう告げて、あなたは車から降りた。
「おいで。」
あなたに言われて、車を降りる。
先を行くあなたの後ろに着いて、私もエレベーターに乗った。
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「今度は私から好きと言いたい」第3話をブログUPしてあります。
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4話からはあちらで書かせていただきますので、もしよろしければいらしてくださいね。
「今度は私から好きと言いたい」
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ただし、あちらは小説を書く場所なので、画像はありません。
その分、こちらでお話を書くときは、皆様が楽しんでいただけるように、画像を入れてのお話をちゃんと書かせていただきます。
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「あなたを知りたい」蒼月ともえ
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「愛念」蒼月ともえ
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